「愛媛の学者・文化人有志が抗議声明 日本学術会議問題」

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以下、朝日新聞デジタル版(2020/10/15 10:00)から。

 日本学術会議が推薦した会員候補6人を菅義偉首相が任命拒否した問題で、愛媛県内の学者らが14日、抗議声明を発表した。「政府に批判的な見解をもつ科学者を選別するようなことを認めてしまえば、学問・研究が『政治の道具』になりかねない」と強く批判した。

 声明を出したのは、愛媛大や松山大の教授ら5人が呼びかけ人となった「菅首相による学術会議会員任命拒否に抗議する愛媛の学者・文化人有志」。約1週間前から賛同者を募り、14日昼までに県内の学者や弁護士ら約70人が応じた。

 声明では、学問研究の成果とそれに基づく発言や行動に着目して6人の候補者を他の候補者と区別したのであれば、「学問の自由を侵害するもの」だと批判。任命拒否の理由を明らかにし、6人を速やかに会員として任命することを求めている。また、学術会議が提出した105人の推薦者名簿を菅首相が見ていないと発言したことについて、「推薦に基づいて内閣総理大臣が任命する」と定める日本学術会議法に反し、「違法であると言わざるをえない」と指摘した。

 呼びかけ人の中心となった愛媛大法文学部の井口秀作教授(憲法学)らは14日、松山市内で会見を開いた。井口教授は「単純に学術会議の問題ではなく、政治と専門知との関係の構造的な問題だ。批判的なものを力でもって止めるのが当たり前、というのがはっきり出てきた」と非難した。

 川端善一郎・元京大教授(生態学)は「国際的に協調して人類社会の福祉に貢献する」という学術会議の理念は現代社会でより重要になっていると指摘。「色々な人の意見を聞き、取り立てる学術会議の意義を反芻(はんすう)し、政府はバックアップしなければならない」

 小淵港・愛媛大名誉教授(経済学)は「国際的にも『日本の科学アカデミーは政府のお眼鏡にかなった人しか会員になっていない』と見られる。政府を批判する人も会員とする組織を持っていることを、国際的に誇りとするような政府であってほしい」と述べた。

 声明文は同日、首相宛てに郵送したという。(足立菜摘)