「日本学術会議 「学問の自由の侵害 全員任命を」憲法学者ら声明」

以下、NHK(2020年10月6日 21時30分)より。

日本学術会議の会員の任命をめぐり、憲法学者などでつくる「立憲デモクラシーの会」は「専門領域の研究者の評価を政府が覆すのは、学問の自由の侵害そのものだ」などとして、任命が見送られた6人全員を任命すべきだとする声明を出しました。
声明は「立憲デモクラシーの会」のメンバー5人が、東京都内で記者会見を開いて明らかにしました。

この会は6年前、集団的自衛権の議論をきっかけに発足し、今回、任命が見送られた東京大学大学院の加藤陽子教授と東京大学宇野重規教授が、それぞれ呼びかけ人となっています。

声明では、日本学術会議法は会員の人事について独立性や自律性を強く認めており、それは自律性が保障されてはじめて、学術会議の目的である「科学の向上発達を図り、行政、産業および国民生活に科学を反映浸透させる」ことが可能になるからだとしています。

そのうえで「各専門領域での研究者による評価を政府が『広い視野』という名目に基づいて覆すことは、学問の自由の侵害そのものだ。首相は今回の権限行使を直ちに撤回し、6人全員を任命すべきだ」としています。

日本学術会議の元会員で、法政大学の杉田敦教授は記者会見で「多くの研究者が政策の妥当性に関わる発言をしないほうがいいと考えれば、政策の検証や助言はできなくなってしまう。波及効果はかなり大きく、学術会議だけの問題ではない」と指摘しました。

任命拒否された教授らが官邸前で訴え
日本学術会議の会員の任命をめぐって6日夜、総理大臣官邸前で抗議活動が行われ、任命されなかった1人で東京慈恵会医科大学の小澤隆一教授が「学術会議の意向を無視した人事で許されない。日本の学術、そして国民全体の問題として起きたことだということを訴えていきたい」と話しました。

総理大臣官邸前には主催者の発表でおよそ700人が集まり、「学問の自由を侵害するな」などと書かれたプラカードを持って、抗議の意思を示しました。

抗議活動には任命されなかった1人で東京慈恵会医科大学の小澤隆一教授も姿を見せ、「推薦に基づいて任命することこそ総理大臣の責務なのに、法律の解釈を変更し、今回のような暴挙に出た。学術会議の意向を無視した人事で許されない。政府から独立し学者が意見を述べることで国民の幸せが実現すると考えており、日本の学術、そして国民全体の問題として起きたことだということを訴えていきたい」と話しました。

参加した40代の女性は、「学術会議はいろんな考え方を持つ専門家が集まって議論する場だと思うので、政治が人事に介入するべきではない。任命しない理由を説明しないのもおかしいと思います」と話していました。