「沖縄知事「那覇空港使わせない」 普天間返還「民間施設使用も条件」の衝撃」

 以下、沖縄タイムス(2017年7月6日 07:54)より。

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米軍普天間飛行場返還に緊急時の民間施設使用が条件となっている
該当するのは那覇空港だが、翁長知事は「絶対に使わせない」と明言
過去、政府から条件の説明はなく、普天輭は返還されない恐れも


 2013年に日米両政府が合意した統合計画で、米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の返還条件の一つに有事など緊急時の民間施設の使用が盛り込まれている問題で、翁長雄志知事は5日の県議会6月定例会で「(米軍には)絶対に那覇空港を使わせない」と述べた。一方、稲田朋美防衛相は6月の参院外交防衛委員会で米側との調整が整わなければ普天間飛行場は「返還されないことになる」と明言している。県民の多数が反対している辺野古新基地が建設される上、政府、県、宜野湾市が一致している普天間返還も実現しないことになり、県は、普天間移設事業の根幹に関わる問題だとして政府に説明を求めていく考えだ。

 嘉手納基地より南の施設・区域の返還時期などを定めた統合計画では、普天間返還の八つの条件の一つに、緊急時に辺野古新基地より長い滑走路を前提とした民間施設の使用が明記されている。稲田氏は6月、この条件が満たされなければ普天間は返還されないと防衛相として初めて明言した。

 しかし、謝花喜一郎知事公室長は5日の県議会で、13年に当時の小野寺五典防衛相が来県し仲井真弘多知事に統合計画を説明した際「返還条件の説明はなかった」と指摘。これまで政府から詳細な説明はないとし、「大きな衝撃を持って受け止めている」と述べた。

 緊急時の辺野古新基地の「代替施設」を巡っては、米政府監査院が今年4月に作成した報告書で、普天間の滑走路が約2800メートルであるのに対し、辺野古新基地は約1800メートルのため「固定翼機の訓練や緊急時に対応できない」と指摘。日米両政府が緊急事態に使用可能な滑走路として県内1カ所を含む国内13カ所を特定したことを明らかにし、早期の確定を促した。

 「県内1カ所」を米側は公表していないが、この日の議会で謝花氏は、普天間の滑走路の長さを勘案すれば、約3千メートルの滑走路を持つ那覇空港が推察されると述べた。その上で、観光への影響や自衛隊との共有による危険性などを挙げ「那覇空港の米軍使用は認められない」と語った。渡久地修氏(共産)、平良昭一氏(おきなわ)の質問に答えた。

「九州豪雨、死者8人に 降り続ける雨警戒」

amamu2017-07-07


 以下、朝日新聞デジタル版(2017年7月7日13時45分)から。

 九州では7日も北部を中心に激しい雨が降り続いている。福岡県朝倉市大分県日田市では新たにそれぞれ1人の遺体が見つかり、福岡、大分両県での死者は8人になった。行方不明者や連絡が取れない安否不明者は計26人。福岡県朝倉市東峰村では計約570人が孤立している。北九州市でも豪雨となり、約4万9千人に避難指示が出された。8日にかけても大雨のおそれがあり、気象庁が警戒を呼びかけている。

 政府は7日、警察、消防、自衛隊などによる救助態勢を、7800人から1万2千人に増強した。菅義偉官房長官は関係閣僚会議で「被害状況の全容が明らかになりつつあるが、道路の寸断などで救助部隊が入れない地域があるなど、事態は引き続き深刻だ」と語った。

 福岡県朝倉市は7日朝、行方不明者が11人いると発表した。このうち、朝倉市黒川で生き埋めになっているとの情報がある3人については、7日も朝から救助活動が続いている。孤立している人の状況も徐々にわかりはじめ、正午時点で、4地区で234人にのぼった。

 福岡県東峰村では、倒壊した家屋の住人3人と依然、連絡が取れず、捜索している。家ごと流され、6日に救助された50代の母と10代の息子は、いずれも重傷だった。村内では3地区で約340人が孤立状態にあるという。

 大分県日田市で遺体で見つかったのは女性で、県警が身元を確認している。市内では孤立している地域が11集落あり、7日朝から自衛隊、警察、消防が計1千人態勢で安否確認をはじめた。市によると、小野、大鶴、東有田の3地区の一部で、道路をふさいだ土砂などを除きつつ、各集落に入り、安否を確かめる方針だ。

 亡くなった人の身元確認も進んだ。

 大分県は7日、日田市二串の川で遺体で見つかった男性は、日田市鶴河内の矢野英俊さん(79)だと発表した。妻の知子さん(70)とも連絡がとれていないという。

 朝倉市は、6日夕に市内で発見され、死亡が確認された男女3人について、朝倉市山田の加藤年彦さん(87)▽妻の加藤幹子さん(85)▽朝倉市宮野の浦塚茂弘さん(70)と7日に発表した。

 福岡県の午前9時現在のまとめでは、朝倉市添田町北九州市の計3万393世帯、7万8863人に避難指示が出た。また、久留米市宗像市東峰村などの4万2027世帯、10万286人に避難勧告が出ている。家屋被害は201件で全壊8件、半壊7件など。床上浸水は49件、床下浸水が113件あった。

 大分県の午前7時半現在のまとめでは、住宅の全半壊や浸水などの被害は計128件。日田市の1万3千世帯4万1千人に避難指示を出している。

 九州電力によると、7日正午現在、福岡、大分両県で計約2800戸が停電している。

 松本洋平内閣府副大臣は7日、朝倉市を訪れ河川の決壊現場などを視察した。

「稲田防衛相、豪雨対応中に一時不在 「政務」理由に」


 以下、朝日新聞デジタル版(2017年7月6日19時47分)から。

 九州北部を襲った豪雨の行方不明者らの捜索救助に自衛隊があたっていた6日昼、稲田朋美防衛相が「政務」を理由に約1時間、東京・防衛省を不在にする一幕があった。大臣、副大臣政務官の政務三役全員がいなかった格好で、省内から「隊員が必死で活動しており、士気にかかわる」との声も上がっている。

 稲田氏が防衛省を離れたのは6日午前11時50分。午後0時半過ぎに小林鷹之政務官が登庁するまでの約40分間、政務三役がいない状態になった。稲田氏は午後1時に再び登庁する際、記者団から「何の政務だったのか」「政務三役不在で救援指揮に問題はないのか」などと問われたが、無言でエレベーターに乗り込んだ。

 「政務」は、後援者との会合や選挙応援など政治家としての活動。閣僚としての業務である「公務」とは区別される。「政務」の内容について、防衛省は「民間との防衛政策に関する勉強会に出席した」とした。

 しかし九州北部を中心とした豪雨により、多くの被害が発生。自衛隊は、最大隊員5千人態勢で災害対応にあたることになった。

 稲田氏も6日午前から関係閣僚会議に出席。席上、訪欧中の安倍晋三首相に代わって麻生太郎副総理が「強いリーダーシップを発揮して全力を尽くしてもらいたい」と閣僚らに指示した。稲田氏はその後、省内で幹部に対して「政府一丸となって被害状況把握に努めるとともに、人命救助活動に全力で対応する」などと述べた。

 稲田氏の対応について、菅義偉官房長官は6日の定例会見で「大臣も含めて政務三役は(防衛省の)すぐ近くに所在し、秘書官から随時連絡を受けていた」と説明。「問題があったとは考えていない」との認識を示した。防衛省も「災害時に政務三役が常に在庁することを定めた規範は存在しない」と説明した。

 ただ、防衛省自衛隊の幹部からは、稲田氏が政務で同省を離れたことに対して戸惑いや疑問視する声が相次ぐ。背広組幹部は「政府挙げて災害救援にあたるさなか、政務で大臣がいなくなるのは記憶にない」と指摘。陸上自衛隊中堅は「仲間が救援活動に必死で取り組んでいる。現場の士気にかかわる」と漏らす。

 自民党内からも批判が上がる。石破茂・元防衛相は6日のBSフジの番組で「あり得ない」と語った。(相原亮)