「稲田防衛相、豪雨対応中に一時不在 「政務」理由に」


 以下、朝日新聞デジタル版(2017年7月6日19時47分)から。

 九州北部を襲った豪雨の行方不明者らの捜索救助に自衛隊があたっていた6日昼、稲田朋美防衛相が「政務」を理由に約1時間、東京・防衛省を不在にする一幕があった。大臣、副大臣政務官の政務三役全員がいなかった格好で、省内から「隊員が必死で活動しており、士気にかかわる」との声も上がっている。

 稲田氏が防衛省を離れたのは6日午前11時50分。午後0時半過ぎに小林鷹之政務官が登庁するまでの約40分間、政務三役がいない状態になった。稲田氏は午後1時に再び登庁する際、記者団から「何の政務だったのか」「政務三役不在で救援指揮に問題はないのか」などと問われたが、無言でエレベーターに乗り込んだ。

 「政務」は、後援者との会合や選挙応援など政治家としての活動。閣僚としての業務である「公務」とは区別される。「政務」の内容について、防衛省は「民間との防衛政策に関する勉強会に出席した」とした。

 しかし九州北部を中心とした豪雨により、多くの被害が発生。自衛隊は、最大隊員5千人態勢で災害対応にあたることになった。

 稲田氏も6日午前から関係閣僚会議に出席。席上、訪欧中の安倍晋三首相に代わって麻生太郎副総理が「強いリーダーシップを発揮して全力を尽くしてもらいたい」と閣僚らに指示した。稲田氏はその後、省内で幹部に対して「政府一丸となって被害状況把握に努めるとともに、人命救助活動に全力で対応する」などと述べた。

 稲田氏の対応について、菅義偉官房長官は6日の定例会見で「大臣も含めて政務三役は(防衛省の)すぐ近くに所在し、秘書官から随時連絡を受けていた」と説明。「問題があったとは考えていない」との認識を示した。防衛省も「災害時に政務三役が常に在庁することを定めた規範は存在しない」と説明した。

 ただ、防衛省自衛隊の幹部からは、稲田氏が政務で同省を離れたことに対して戸惑いや疑問視する声が相次ぐ。背広組幹部は「政府挙げて災害救援にあたるさなか、政務で大臣がいなくなるのは記憶にない」と指摘。陸上自衛隊中堅は「仲間が救援活動に必死で取り組んでいる。現場の士気にかかわる」と漏らす。

 自民党内からも批判が上がる。石破茂・元防衛相は6日のBSフジの番組で「あり得ない」と語った。(相原亮)