「ペンの陰謀」本多勝一編(1977)を購入した

「ペンの陰謀」本多勝一編(1977)

 本書の「あとがき」(本多)に次のようにある。

 ゲラ刷りを読みなおしてみて、改めて奇妙な気分になりました。こういうペテンの論理をあやつるイカサマ師を、一時的とはいえ、どうして大雑誌や大放送や大新聞がだまされて登場させたのかと、考えこんでしまうのです。序文で申しましたように、その第一の理由はこうしたイカサマ師を利用する背景にありますが、しかしたとえばこのイカサマ師を好んで登場させた『週刊朝日』をみるとき、直接の担当者がその「背景」にあやつられていたとも思えません。彼は単に、このペテンの”論理”を見破ることができず、うまくもない詭弁にひっかけられていたにすぎないのでしょう。そういう人が大雑誌の編集者や記者などでもけっこう多いのですから、松本道弘氏も指摘しているように、残念ながら日本的議論は「直観重視の感情的反駁形をとることが多い」のかもしれません。一般庶民がイザヤ七平氏のペテンにひっかけられるのも無理はないと思います。だからこそ、こんな「阿呆らしい」本を出す意味もまたあるわけでしょうが。

(p.394)