講談社現代新書は、案外ファンで、板坂元「考える技術・書く技術」や松本道弘「「タイム」を読む」など買って読んできた。
芦沢一洋氏の「アーバン・アウトドア・ライフ」もすこぶる面白い本だ。
山梨県は鰍沢生まれの芦沢氏は、アーネスト・ヘミングウェイの「われらの時代に」を初めて読んだ日に、アウトドア・ライフへの漠然とした憧れがひろがっていったという。
バックパック、ウィルダネス、自転車、カヌー、クロスカントリー・スキー、など化石燃料源の浪費のないヒューマン・パワー・ツーリング。
バードウォッチングとフライフィッシング。
アウトドア・ライフは、いわゆる”スポーツ”ではない。人と人とが技を競い合う世界ではないのだ。スポーツの用具を使い、肉体の鍛錬を自己に課する場面があったとしても、求めるところは争いを知らない自己洞察の世界。シンパシー、共生を希求する心の世界なのだ。この心あるところにのみアウトドア・ライフあり、僕はそう思っている。
「ウィルダネスの精神」「松葉香を聞く」「庭の小宇宙」などなど。
アウトドア・ライフに憧憬の念を覚える俺にとって、「アーバン・アウトドア・ライフ」は何度でも読みたくなる良書だ。
人間は、なしですませる物が多いほど、それに比例して豊かなのだ
「ソローの言葉はいつも的確だ」。