応用言語学の授業が始まる

 学費納入の事務処理が遅く、授業に5分ほど遅刻をしてしまった。ワイカト大学(The University of Waikato)では、1階がグランドフロアでGと呼んでいる。地下はベースメントでBだから、2階が1階になる。いわば、これはイギリス式なのだろう。けれども、建物は、J、K、Lと、無機質な名前がつけられている。イギリス風なら、功労者の名前をつけたりすると思うが、ここは田舎の大学なのか、日本と同じ感覚で、趣味が悪い。ただマーガレットに言わせると、設立者の名前などを載せると、PC(政治的配慮)の問題があるとも言われた。なるほど、確かに前の功労者などの名前をつけると、賛成意見と反対意見とが出そうだ。
 応用言語学の基礎科目を取ったのだが、来ている受講生は25人くらいだろうか。担当教授は、まず言語学の中での応用言語学の位置を説明し、応用言語学の中での歴史とさまざまな言説に触れ、どのような問題があるのか浮き彫りにされた。その中で、「文法」をどうとらえるのか、一人ひとりの学生に考えて欲しいという問題提起で終わった。シラバスが明確で、日本人が学ぶべき体系性がありロジックがある。教授が好きなことを喋って、適当に終わるというような授業とは大違いだ。3時間の講義は、あっという間に終わった。
 本音をいうと実は私が取りたかった科目は、CALL(Computer Assisted Language Learning)という、コンピュータを駆使して外国語を教えるプログラムだったのだが、ワイカトではこれがインターネットを通じておこなうプログラムになっていた。外国まで来て、ネットのプログラムだけでは悲しいので、外国語教育に関心のある学生が取るであろう本科目を取ったのだ。他には、ワイカト大学でこそ取れる科目と思って、マオリ語の初級を学ぶことにしてあった。授業が終わってから、この担当教授のジョージ(仮名)と少しばかり立ち話をした。