玉置浩二のBest Harvestを聞きながらちょっぴり日本語の将来を考えた

 日本のソングライターで、私のお気に入りで期待する人物といえば何と言っても奥田民生なのだが、パートナーから誕生日にもらった玉置浩二の「Best Harvest」(2003)が、もっかのお気に入りだ。日本から持ってきた40GのiPodに私の音楽コレクションからボコボコと入れてきていたのだが、玉置浩二のこのアルバムも、もちろん入れてきていた。
 「ルーキー」「ワインレッドの心」は定番だろうが、「願い」「Happy Birthday−愛が生まれた−」「愛だったんだよ」「悲しみにさよなら」「夏の終わりのハーモニー」「虹色だった」「Aibo」「常夜灯」「淋しんぼう」「このリズムで」「甘んじて受け入れよう」「君だけを」など、なかなかいい唄が目白押しだ。
 全体を通じて、少し年齢のいった「男の唄」という感じがする。ちょっとバラードが多過ぎて感情的に流れすぎるきらいもあるが、今の私の気分にはちょうどいい。
 「なんだって精一杯やっている君を見てると、なんでだろう、涙こぼれる」(「ルーキー」)、「願いが一つかなうなら、緑の星に、そんな優しい愛があふれるように」(「願い」)、「太陽はどんなときも輝いているだろう。幸せになれるように、優しい気持ちでいられるように」(「虹色だった」)、「やりたいようにやっていいんだよ。悲しいくらいでちょうどいいんだよ」(「常夜灯」)と、彼の気持ちが伝わってくる。
 唯一このアルバムで嫌いな点が、多少イギリス語が使われている事だ。とくに題名と、Happy Birthdayという唄の中で歌われている「それだけ忘れないでベイビー」の「ベイビー」の発音が嫌いだ。これを除けばとてもいい唄だと思うとちょっぴり残念だ。それでも、今の日本の状況からすると、これならまだ使用頻度は少ない方だろう。日本語の歌に、むやみやたらとイギリス語を使いたがる、奴隷根性の歌詞が増えてきていることは大変腹立たしい。
 イギリス語とマオリ語、そしてイギリス語と日本語。
 日本語は話者の人数からいえば、大言語の一つといえるだろう。それでも、イギリス語とマオリ語のような関係にならないとは誰も断言できないだろう。イギリス語に対して日本語は卑屈なくせに、朝鮮語に対しては威張ったりしている。このねじ曲がった政治的関係性を、どの言語も大切なのだと、普通の関係にしないといけない。
 そうした普通の目線で、母語である日本語を大切にしたいと思う。