車選びの際にニュージーランド人が考えることは、日本人とはかなり視点が違う

 ハミルトンに住んでいるジョニとトムが郵便物のチェックをしに来た際に、車を買うのを手伝ってくれないかとトムに頼んでおいたことはすでに書いた。彼の第一のアドバイスでは、市民ペーパーが入るので、それをチェックしろということであった。
 どんな車が欲しいのかと聞かれた私は、自分しか乗らないのと、大きな荷物を載せるとしたら、自転車くらいで、あとは旅行用の荷物や、あるとしてもテントなどのアウトドア用品であることを伝えた。だからハッチバックのような取り回しの軽い奴がよくて、大きな車はいらないことも伝えておいた。マニュアル車でも大丈夫だが、オートマチックの方が楽だからオートマチックにしぼり、色は白は好みでないことも伝えておいた。
 相談した次の日の金曜日の夜に電話をもらった。さっそく市民ペーパーでいろいろとチェックをしてくれたようだ。日産のウィングロード、パルサー、スバルのインプレッサ*1なんかはどうかという。私は車に詳しいわけでもないし、車に関心が高いわけでもないが、どちらかといえば、この中ではスバルのインプレッサ(Impreza)が好みだ。
 価格帯としては8000ドルくらいの奴にしようかなと思っているのだが、5000ドル(約35万円)〜8000ドル(約56万円)の価格帯が多いというから、この価格帯で低い値段の方が売るときも楽かもしれない。
 この価格帯だけれど、8000ドルというのは、ニュージーランド人にとってバカ高い値段だ。ニュージーランドの中古車市場の価格帯は、幅が大変広い。というのも、これ以上は乗れないという最後の最後まで彼らは車に乗るからだ。私のパートナーは、小学校の教師をしていて、若いときにトヨタスターレットという入門車に10年間ほど乗っていたことがあるが、そのスターレットも、とうとう最後は雨漏りがしてきた。ニュージーランドでは、これなど、ごく普通の車の取り扱い方であろう。私のパートナーは、どうやらニュージーランドの環境にぴったりと合っていたようだ。彼女の先祖は、キーウィーだったかもしれない。
 先日も、輸入した日本車のメーター上の走行距離をごまかすこちらの悪徳業者が問題になっていたけれど、ニュージーランドは日本の中古車市場のお得意先で、95%ほどのシェアがある。
 日本人が新車から新車に乗り換える。その乗り捨てられた中古車の市場は国内市場にもあるけれど、ニュージーランドなどの海外の市場もあるわけで、ニュージーランドに輸入された日本の中古車は、こちらでは乗りつぶすまで乗るらしいから、人から人へと車が渡っていく。
 その意味では、こちらの自動車の方が幸せかもしれない。日本人が見向きもしないような車でも、最後の最後まで値段がつくからだ。私のパートナーみたいに日本人みんなが乗りつぶしていたら、ニュージーランドにまで、まわっていくものがなくなってしまうということにもなる。自動車に対して全く違う感覚の社会どうしだから、持ちつ持たれつの関係でうまく行くとも言えるのだろう。
 ところでトムは、車に詳しそうだ。自分だけでも10台くらい乗ってきたという。車種にも詳しくて、この車なら、この色。この車なら、この色と、色に対する好みもうるさい。これまでも、何台も他人の車の購入を手伝ってきたというので、大変頼りになりそうだ。たまたまだったけれど、最適な人にヘルプをお願いしたことになる。

*1:英語母語話者の発音では、スバルのインプレッサは、スーバルーインプレッツァ、インプレッザになると思う。