ケーシーが見当たらない

 夜の9時に帰宅して慌てて飼い猫のケーシーに食事を与えたら、ケーシーがいない。いつもなら、ニャーという泣き声とともに、暗闇の中から現れてくるのだが、どうしたことだろう。
 トムの家にも二匹猫がいて、ケーシーに餌をあげないといけないので、「早目に帰らないと」と、トムに言っていたのだが、いいから夕飯を食べていけということになって、帰宅が遅くなってしまった。
 ケーシーは、私に愛想をつかして、とうとう家出したのだろうか。交通事故死でもしていたら、アレックスとジュディに申し訳が立たない。
 何回も庭に出てみたが、いる気配がない。車選びでは満足した一日だったけど、ケーシーのことが心配になって、夜中に何回か起きてしまった。
 考えてみると、外で飼っている猫って奴は始末におえない。犬のように首輪もつけないから、誇り高き自由がある。これじゃまるで、黒澤明監督の映画「まあだだよ デラックス版 [DVD]」の中のノラを探し続けていた先生状態だ。
 やはりケーシーが、この家のご主人だったのかもしれない。なんだかんだいっても、奴の方が、この家では先輩だからなぁ。