テ アワムツ(Te Awamutu)は、ハミルトン(キリキリロア)から南に下ったところにある、人口1万人くらいの小さな町だ。
テ アワムツという地名は、ここから上流はカヌーに向かないらしく、「川の終わり」という意味らしい*1。ローズガーデンが有名らしいが、バラの時期は11月からが季節だから、冬の今はちょっと無理だ。またテ アワムツは、ニュージーランドを代表する音楽で有名なフィン兄弟(Brothers Tim & Neil Finn)の出身地として知られているけれど、テ アワムツを訪れる今回の私の目的は、なんといってもマオリ土地戦争である。
町に入るところで、戦争記念公園があったので寄ってみた。町の中心には、第一次世界大戦の墓碑もあるようだが、ここは朝鮮戦争やベトナム戦争など、第二次世界大戦以後の戦争記念公園であるようだ。ハミルトン(キリキリロア)もそうだが、ニュージーランドには、あちこちに、第一次世界大戦、第二次世界大戦で命を落とした人たちの名前を刻んだ墓碑がある。この公園の近くで、サンドイッチとミルクティーで軽く食事をとる。
食事後、目的であるテ アワムツの博物館に行ってみた。
まず最初に、マオリの文化的なものが掲示されている。
マオリの食生活だが、やはりうなぎは重要な食材だったようだ。うなぎを取るためのカゴがあったが、日本のびくと同じ材質という感じで驚く。
食材にしたり、コートなどの洋服の飾りにもしたという意味で、鳥も重要であったようだ。ニュージーランドは昔から鳥がたくさんいるから、彼らの生活にとって鳥は密接な動物であったはずだ。
第一次世界大戦でいうと、ニュージーランドは、エジプトやリビアの砂漠へと出兵し戦ったということで、砂漠の中でいかにサバイバルをしたかという展示がある。父親の戦争体験、それは砂漠体験であるのだが、その体験を聞き、いろいろ準備をして息子の世代も出兵したというような展示もある。
ランギリリの戦いで使用したものと同じ大砲も飾ってあったが、マオリ土地戦争の展示は期待したよりも少ない。イギリス兵が使用した銃や、マオリが使用したマスケット銃などが比較されて展示してある。呼称は、マオリ土地戦争(ニュージーランド戦争)ではなくて、一貫して「ワイカト戦争」となっている。
土地戦争の後、テ アワムツは、フロンティアの町として知られているから、「フロンティアの町」としての「テ アワムツの歴史」や「フォレストレンジャー」というような本が展示されている。資料展示にはあまり感じられなかった、バランスの取れた歴史認識や歴史意識がどの程度、こうした本に反映されているのだろうか。
この博物館にはフィン兄弟のコーナーもあり、盛りだくさんの資料が展示されていた。
帰りに、マオリ土地戦争関係のパンフレット「1863年‐64年 ワイカト戦争 主な出来事と史跡ガイド」(ネビル=リッチー著)を5ドルで購入する*2。
おそらく、テ アワムツはまた訪れることになるだろう。
本日の全走行距離は、約66キロだった。
*1:Te Awamutuは、マオリ語で、teがthe、awaがriver、mutuが、cut short or endedを意味する。ここから上流の川は、障害があって、カヌーに向かないという意味になる。
*2:'The Waikato War of 1863-64 A guide to the main events and sites' (Neville Ritchie) ISBN:0478220510