塩茹でのコーンドビーフは、なかなかいける

 ジュディは、料理上手で、いろいろなものをつくってくれるから、夕ご飯が楽しみな毎日である。彼女がつくる定番料理のひとつ、コーンドビーフ(corned beef)を紹介しよう。
 コーンドビーフの作り方は、グローブなどのハーブを入れて、赤砂糖と酢も少々入れるけれど、基本的にはビーフの固まりをまるごと2、3時間塩茹でするだけだ。
 スープは油ぎっているし、かなりしょっぱいので、スープ自体を食べることはしないが、そのスープを利用して付け合せのにんじんを煮たりする。
 できあがったビーフの塩茹では、食パン一斤くらいの大きさだ。これをコーンドビーフ(corned beef)と彼らは呼ぶ。
 私が幼い頃によく食べたコーンビーフの缶詰は、このcorned beefが語源なのかもしれない。日本のコーンビーフの缶詰は、バラバラの繊維質になったようなビーフを油で固めたような奴だが、ジュディのつくるコーンドビーフは、まるで違う。
 できあがったコーンドビーフを電動ナイフで、少し厚めのハムやベーコンのように、薄く切る。
 食べるときには皿に盛りつけてイングリッシュマスタードをつけて食べるのが基本らしいが、アレックスはポマリのようなフレンチマスタードをつけて食べていた。イングリッシュマスタードという奴は、おでんのときにつける、あの西洋がらしのような奴だ。
 出来立ては、もちろん暖かいままでいただくから、ホットミール(hot meal)である。
 昨夜は、このコーンドビーフの付け合せに、ジャガイモの茹でたて、にんじんの茹でたて、私が買ってきた残り物のキャベツのサラダ。それに、チーズクリームソースであえた熱々のカリフラワーが出てきた。
 こうしたサイドディッシュを、例のごとく自分の皿に好きなだけ盛りつけて、いただく。
 前にも書いたように、このコーンドビーフは保存食の性格があるようで、油の落ちたコーンドビーフは、まるで良質のハムのような味だ。
 コーンドビーフを土曜日につくり、日曜日は料理の手抜きをするために、コーンドビーフをサンドイッチに使ったりする。
 つまり、これがコールドミール(cold meal)となる。
 コーンドビーフは、ホットミールも、コールドミールも、一連の中で楽しめるから、きわめて合理的だ。