科目としての地質学は、カナダではいじめられていない

 「カナダでは、地質学は、学生に人気があるんですか。日本では、一番いじめられている科目だと思うんですけど*1」と、このカナダ人の地質学者に聞くと、カナダの地質学的な資源は重要な産業なので、どれくらいの資源が残っているのか、基礎統計などを調べることは重要な部門だから、地質学をやったものは、アカデミックな世界ももちろんあるが、産業部門でも仕事があると彼は言った。
 なるほど、カナダでは、科目としての地質学は、日本と違っていじめられていないのだと私は理解した。
 ロトルア近くのワイオタプやワイマングーなど、ニュージーランドは地質学のフィールドワークに最適な国のひとつと痛感している私は、「地質学者としてニュージーランドを見た場合、面白い石はありますか」と質問したら、ネルソン近くに、ダナイト(dunite)という石があり、その後世界にもダナイトは発見されたが、ニュージーランドのネルソン近くのダナイトが最初の発見で、その名が継承されていると、彼は地質学者らしいことを言った。あとは、パマス(pumice)だ。彼の話から、日本でいう「軽石」と理解した私は、「ああ、それなら日本にもありますよ。お風呂で使ったりする奴」と喜んで反応すると、「もちろんですよ、日本もニュージーランドも同じように火山国ですからね」と彼も喜んで、私たちは話し込んだ。
 そして、彼が紹介してくれた本が、“The Reed Field Guide of New Zealand Geology” by Jocelyn Thortonである。専門書ではないが、私のような門外漢でも読みやすいと推薦してくれた。版を重ねているから、いい本の証拠ですよとも彼はつけ加えた。

*1:高校のカリキュラム編成では、前の指導要領の改訂(改悪)で、単位減と「総合」などの新科目を入れないといけないということで、従来の体系の中で、削減せざるをえなくなった。このため、従来の理科の科目を必修からはずして、選択で処理する高校が増えていると推測される。日本のカリキュラム改定は、上からの改定で、現場の実態や要求を無視してすすめられる点に特徴がある。