定番中の定番、ナイトサファリに出かけてみた

 こうして私は大衆食堂ばかりを回っているわけだが、ハイティーなど、日本人観光客の定番コースを私は避けているわけではない。できれば、そうした定番コースも言ってみたいのだが、今回の滞在は日数が限られている。優先順位として、そちらまでまわらないというのが本音だ。
 だが、今夜は、そうした定番コースの一つであるナイトサファリに出かけることにした。
 ナイトサファリは、MRTのアンモーキオ(Ang Mo Kio)駅からバスに乗る。このSBS Transitのバスが1.4ドル。
 ナイトサファリに行く138番のバスに乗ると、お釣りはないよとバスの運転手が叫んでいる。普通の人は、バスの定期券を使っているようだ。
 これが、地下鉄MRTからナイトサファリに着くまでに、遠々30分くらい乗る。
 ところで、ナイトサファリやセントーサなど、値段的に高い。こうしたところには、はっきり言って、シンガポールの貧乏人なら来れないところだろう。
 つまり、お金持ちの日本人や他の観光客向けのところだ。
 ナイトサファリに着いてみると、日本語のガイドもあるようだけれど、40分くらい待たないといけないという。そんなには待っていられない。英語のトラムツアーなら5分おきに出ているという。
 私の乗ったトラムカーは、インド人観光客が多かった。
 ITインドにふさわしく、ビデオカメラをまわしているインド人が少なくない。今のインド人は、一時期の日本人みたいだ。
 トラムカーでは、案内放送があって、これも音量があるのだが、これはまだ我慢できる。
 我慢できないのは、乗客の私語だ。
 言語はわからないが、おそらく、「ほら、あそこにゾウがいるよ」「どこどこ」「あぁ、本当だ」というようなことを話しているのだろう。ともかく、乗客がやかましいことに閉口する。
 このトラムツアーが終わって、インド系の女性係員に、このトラムツアーはやかましいと文句を言うと、「乗り物が騒々しいのですか、それとも、乗客ですか」というので、「乗客だ」と私が言うと、「それでは、私どもの責任ではないですね」と「限定」された。英語を話す人間は、こうした限定が好きだから、困る。私が言いたいのは、ナイトサファリのコンセプトだ。
 ナイトサファリとは、静かな環境の中で、動物と対面することではないのかと勝手に思っていた私は、あの喧騒にとてもじゃないけれど、耐えられない。
 私が言いたいことは、「トラムカーに乗っている際には、お静かに願います」くらいの、観光客に対する躾ができないのかということである。