今回の選挙で、自民党は、小泉人気で、地すべり的大勝を果たした。
国民一人ひとりに郵政民営化の是非について聞いてみたいと語りかけた小泉首相の問いが、他に大事な争点がたくさんありながら、「改革」に期待する国民を投票所に向かわせたようだ。
たしかに自民党への票は総数にしても率にしても前回の選挙より伸びている。しかし、小選挙区の自民党の得票率は47.8%で前回の得票率よりも4%上積みしたが、比例の自民党の得票率は3.2%の上積みにとどまり38.2%と4割に満たなかった。ところが、新議席は、前回よりも59議席も上積みをして、全議席中296議席もの議席を、割合にすれば61.7%もの議席を占める結果をえたのである。これに公明党の31議席、全体議席数でいうならば6.5% をあわせると、327議席(68.2%)もの議席を、すなわち3分の2以上を占める結果となったわけだ。
やはり、これは小選挙区制度の問題と言えるのではないだろうか。いわば、4割の得票で6割の議席を占めることのできる小選挙区制の問題性が、今回の選挙でいよいよ明確になったかたちだ。
一方、大敗した民主党は小選挙区*1で、36.4%、比例で31.0%の得票率を得ながらも、議席数は113議席(23.5%)に過ぎない。3割以上の得票率を獲得しながら、議席数は、25%を切っているのだ。
これは、野党の共産党や社民党も同様で、たとえば小選挙区の共産党の得票率は7.3%。比例でも、7.3%だが、小選挙区では、議席がゼロ(0%)、比例で議席は9議席、これは全議席数の割合からすれば、たったの1.5%に過ぎない。
異論をとなえられることが民主主義の大前提だが、今回の選挙結果からすれば、日本は異論を唱えることがますますむずかしい、民主主義や自由が軽んじられる社会になっていくことだろう。