少子化対策や私学生き残りからだけの学校再編は許されない

 昨年暮れの12月27日、京都成安学園と京都産業大は、京都成安学園が運営する京都成安中学高校を、京都産業大に譲渡する方向で協議に入ると発表したと報じられていた。京都成安中学高校が、2007年4月に京都産業大の付属校(校名未定)として受け入れを目指すとのことであった。
 私は、京都産業大学も京都成安学園も、いずれの学園も知らないし、関係者も知らない。そのうえ今回の問題の経緯も全く知らない。だから無責任にコメントをおこなうことは許されない。
 だけれど、こうした学園系列の異例な譲渡は、私学の生き残りをかけた少子化対策として、私学の再編が進められていくという情勢にあって、これからますます増える可能性があると認識している。そうした意味で、私の眼を引くニュースだったし、そうした意味で、このブログでも取り上げる気持ちになった。
 だから繰り返しになるが、これらの学園を非難・批判することが私の目的ではない。
 さて、京都成安学園は大津市にある成安造形大も運営しているということで、「大学の系列校を他大学に譲渡するのは異例のこと」と報じられている。いわゆる少子化と「大学全入時代」を迎え、従来考えられなかった組み合わせでの学校再編が進みそうだとコメントされている*1
 ここで私の言いたいことは、経営という点で、たしかに学校は学校法人のものだろうが、教育的には、同時に、在校生徒・在校教職員のものでもあり、さらに社会的に言えば、その学校の卒業生や、これから入学したり、卒業したりする可能性のある一般市民のものでもあるということだ。
 少子化や生き残りのためだけに、すなわち経営のためだけに、学校の統廃合が上意下達に進むとしたら、それは正しい方向とは言えない。
 学校の統廃合は、けっして安易にされてよい事業ではないからだ。
 つまり、さまざまな関係者、全学の構成員との合意形成が重要であると強調したいのである。
 繰り返しになるけれど、上記に取り上げた二つの学園の経緯について私は全く知らない。だから、学園全体の合意形成ができていないから、その点が問題だと指摘しているわけではない。
 今後、学園統廃合が進められる日本全体の情勢にあって、今後の学園統廃合問題で、全学的な合意形成がなによりも大切だということを強調したいというのが、四半世紀、教育に携わってきた私の立場であり、強調したい点である。

*1:京都新聞によれば、京都産業大学は、京都で附属校(系列校)のない唯一の総合大学だそうで、附属校の併設は「悲願」だったようである。関西では、私学生き残りとしても、生徒の安定確保のために併設校を重視しているようだ。この点、関東とは多少状況が違うのかもしれない。http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2005122800037&genre=F1&area=K10