「加計学園の獣医学部、認可へ。前川氏は反発、その理由は…」


 少子化傾向にある日本。教育立国の日本。
 大学設置にあたっては、内容も段取りも、きちんとしなければならないことは当然である。
 少しの皮肉をこめていえば、学部・学科の設置に関する、私学をみつめる文科省自身の眼には、たいへん厳しいものがある。

 加計学園獣医学部設置は、疑惑がていねいに説明されるどころか、いまだ払拭されていない。
 そもそもこれは教育に名を借りた政治の私物化、利益誘導ではないのか。
 疑惑だらけのこの問題に、驚くべきことに、文科省は週明けにも疑惑だらけの加計学園獣医学部設置を認可する方針だという。
 これは、すべて公務員は「全体の奉仕者」と定めた憲法 15 条に照らして違反していないのか。

 「不公正、不公平、国政の私物化ではないかという国民の疑念に政府は答えなければならない」「特区諮問会議は改めて審査する責任がある」という前川氏の意見は、全くその通りというほかない。
 「退職された方の発言について、いちいち政府としてコメントは控えたい」という菅義偉官房長官は国民の世論に背いていると言わざるをえない。
 憲法の精神に背いていると言わざるをえないのではないか。

 11月10日付の前川喜平氏のコメントは大変わかりやすい。
 ネット上の報道も見ているが、前川喜平氏のコメント全文を掲載しているメディアがほとんどないことに驚くほかない。

 来年4月に開学する新設の大学を、11月に認可するという段取り自体が、常軌を逸しているという他ない。
 こうした文科省のもとで、教師は真っ当な教育のしごとが可能なのだろうか。はなはだ疑問だ。
 大人がこんな状態では、日本社会の教育崩壊と倫理観の崩壊はますます進むだろう。
 そうした破壊の先頭を首相が走っている。

 以下、BuzzFeed Japan(11/10(金) 19:20配信 )より。

https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/what-is-kakegakuin16?utm_term=.qo7Kq2mKv#.pxR74Vx7P

籏智 広太 BuzzFeed News Reporter, Japan

時事通信

学校法人「加計学園」(岡山市)が運営する獣医学部新設について、林芳正文部科学大臣は11月10日、大学設置・学校法人審議会がその設置を認める答申を出した、と発表した。


これを受け、文科省は週明けにも設置を認可する方針という。


安倍晋三首相の友人が理事長を務めていることから、その関与などが疑問視されていた加計学園をめぐる問題。


選定のプロセスで「行政がゆがめられた」などと指摘していた、文部科学省前川喜平・前事務次官が10日夕方、報道陣にコメントを発表した。


前川氏はコメントで、「加計学園による今治市での獣医学部設置については、大学設置審議会の答申があったからと言って、直ちに文部科学省が認可すべきではない」と強調。


獣医学部の申請までのプロセスにこれほどの疑念があり、具体的な説明が全くなされず、記憶にない、記録がないという発言が繰り返される」なかで文科省が認可をすれば、それは「国民に真摯に向き合っていない」ことになると指摘した。


そのうえで、「新設が国家戦略特区法の目的に適うものなのか、閣議決定の4条件を満たすものなのかを再確認する必要」があると改めて訴えた。


政府は十分な説明を
また、「特区制度のもとで同学園だけ特例的な規制緩和が認められた行政過程において、不公平・不公正、国政の私物化があったのではないかという国民の疑念」があるとし、「政府は十分な説明をしなければなりません」と求めた。


この「疑念」に関しては、以下の3点を列挙している。


国家戦略特区法の目的や閣議決定の4条件に基づく公正な審査が行われなかったのではないか
京都産業大学の提案を恣意的な条件を付すことにより公平性を欠く方法で排除したのではないか
「総理のご意向」により、初めから「加計ありき」で、「腹心の友」にだけ特別な恩恵を与えることが決まっていたのではないか
そのうえで前川氏は、「我が国の主権者は国民です。政府は国民のための政治を行っているのですから、国民に対し正面から十分に説明を尽くさなければなりません」と結んだ。


一方、菅義偉官房長官は同じ日の会見で、前川氏が取材などに認可に異論を唱えていることに対し、こう一蹴したという。


「退職された方の発言について、いちいち政府としてコメントは控えたい」