民主党役員の慰留を受けて、小沢氏が代表にとどまる可能性がでてきた

 昨日、民主党代表を降りる意向を示した小沢氏に対して、民主党役員会は自民党との大連立の方針に対しては反対しつつも、慰留の方針を決めて動いた。
 以下は全くの個人的憶測と個人的意見にすぎないが、自民党のこれまでの方針継続に対して、民主党が国民の要求を受けて、たとえばテロ特措法に対して反対姿勢を鮮明にしてこざるをえなくなっていたわけだが、ここにきて給油問題をはじめとして、自民党からのゆさぶり、同時に小沢氏も動揺したのではないか。動揺というコトバが適切でなければ、結果的に右からの揺さぶりをかけたと言った方が適切かもしれない。
 それは、第一に、いわゆる小泉マジックによって衆議院自民党が体勢を占めているが、参議院は、国民の批判エネルギーが爆発し民主党が圧勝したということ。いわゆるねじれ現象であるが、これまで強行採決を繰り返してきた自民党はここにきて立ち往生をし、給油問題がストップするという事態に立ち至っていること。
 第二に、自民党民主党の大連立をうながす声が、日米関係、日本国内の中に、権力的な圧力として存在していること*1
 第三に、しかしながら、民主党自民党と比べてみて、そもそもそれほど革新的ではないこと。
 第四に、小選挙区制という条件のもと、今後の選挙で民主党が圧勝することは簡単ではないと判断していること。
 こうした情勢のもと、自民党的な政治に対して旗色を鮮明にして対決することができず、それで福田首相との密室会談に応じたのではないか。
 問題は、小沢氏が民主党代表にとどまるか否かが重要なのではない。
 民主党内には、密室会談にも慰留にも反対という筋の通った意見が存在しているようだが、そうした意見が主流になることはなく、あれだけ小沢代表が記者会見で民主党のことを政権担当能力がないとボロクソに言われても、選挙に強いという一点で、民主党役員会が慰留するという有様だ。
 もちろん問題の核心は、人ではない。政策論議である。小沢氏を慰留することにより、結果として自民党的な政策に迎合するように民主党を引っ張り、国民の革新的エネルギーを裏切り、そうしたエネルギーが胡散霧消するような政界再編になるのか否か、それが重要問題であることに変わりはない。
 大連立という形式を踏まずとも、政策転換・変質が進行すれば、それは実質的な大連合を意味し、結果として国民の要求にそむくことになる。
 そもそも民主党は、自民党の政策とどこが違うのかと言われ続けてきた。国民の要求実現のために、自民党的な政治に真に対決できるのかが問われている。

<民主・小沢代表>とどまる意向示す「もう一度頑張りたい」
11月6日21時11分配信 毎日新聞


 民主党小沢一郎代表は6日夜、菅直人代表代行らの同党執行部の慰留に対し、「恥をさらすようだが、皆さんの意向を受けてぜひもう一度頑張りたい」と述べ、代表にとどまる意向を示した。

最終更新:11月6日21時11分

*1:政治評論家の森田実氏は、氏の11月4日のHPで次のように書かれている。「今回の大連立構想の背後に透けて見えるものがある。それは、日本の指導的政治家の「米国恐怖症」である。小沢一郎氏が初めは「テロ特措法反対」論を声高らかに叫びながら、福田首相との密室の会談において妥協の姿勢を見せた背景には小沢氏の「米国恐怖症」があるように思う。結局のところ、日本の保守政治家は、米国政府には逆らえない、逆らったら大変なことが起こるとの恐怖観念の虜になっている。(改行)残念なことだ。これではいつまで経っても、日本は自立した独立国にはなりえない。(改行)福田首相が提案し、小沢代表が受け入れかけた「大連立」は、言い換えれば、アメリカを宗主国とする植民地国家日本の「平成版大政翼賛体制」である」。