昨年Living With Warを出してアメリカ合州国の大統領を糾弾したニールヤングが、10月23日にChrome Dreams II (W/Dvd)を出した。
1977年の未発表のアルバムChrome Dreamsに対して、そのアルバムが未発売であるのにもかかわらず、その続きということで、Chrome Dreams IIというタイトルになった。
ニールヤングによれば、Chrome Dreams II (W/Dvd)は、同一テーマによるコンセプトアルバムというよりは、After the Gold RushやFreedomのように、いろいろなタイプの歌を集めて、それがある種の雰囲気をつくっているアルバムということらしい。
最初の3曲は1980年代のものからだという。事実、18分13秒にもおよぶOrdinary Peopleは、This Note's for Youのアルバム用に1988年に録音されたものだそうだ。だから、これは新譜といってよいか微妙だ。
次はニールヤングによる発言。
“It’s an album with a form based on some of my original recordings, with a large variety of songs, rather than one specific type of song. Where Living with War and Everybody’s Rockin’ were albums focused on one subject or style, Chrome Dreams II is more like After the Gold Rush or Freedom, with different types of songs working together to form a feeling. Now that radio formats are not as influential as they once were, it’s easier to release an album that crosses all formats with a message that runs through the whole thing, regardless of the type of song or sound. Some early listeners have said that this album is positive and spiritual. I like to think it focuses on the human condition. Like many of my recordings, this one draws on earlier material here and there. I used to do that a lot back in the day. Some songs, like ‘Ordinary People,’ need to wait for the right time. I think now is the right time for that song and it lives well with the new songs I have written in the past few months. I had a blast making this music.”.
実は、今日書きたいことは、アルバムそのものの評価というより、英語情報の速さのことである。日本から英語情報にアクセスする場合、インターネット時代以前なら、英語情報にアクセスすること自体がむずかしかった。しかし、今なら、インターネット上に情報がすぐにのる。たとえば、以下はウィキペディア。ウィキペディアの情報は、確かなものではないという批判については十二分に理解しているつもりだが、その速さとその情報量に驚かされる。
http://en.wikipedia.org/wiki/Chrome_Dreams
http://en.wikipedia.org/wiki/Chrome_Dreams_II
ウィキペディアによれば、「Chrome Dreams II (W/Dvd)は、ビルボード200のチャートで最初の週に11位で5万4000のセールを記録している」という。
こうした情報にアクセスできるにつけ、つくづくインターネットの時代だと痛感する。
Neil Youngでいえば、After the Gold Rushや、TONIGHT'S THE NIGHTが出された頃に、こうした情報にアクセスできたらと思うと、ため息が出てしまう。
肝心のアルバムに対する評価だが、Rolling Stone誌ではROBERT CHRISTGAU氏が評価していて、今回のアルバム評価は三ツ星*1。読者の評価は四ツ星で、読者の方が甘い。
他の雑誌では、Guardianのように五ツ星を与えているものがある一方、The Independentのように二ツ星を与え、「ヤング自身はアフターザゴールドラッシュやフリーダムと比較しているが、ロッキンインザフリーワールドと同じくらいの強力な曲を探してもムダに終わるだろう」(Young himself compares Chrome Dreams II to After the Goldrush and Freedom, but one will search in vain here for a song as strong as "Rockin' in the Free World". )と、厳しい評価をしているものもある。
多種多様な評価が読める点でもインターネット時代の情報量は素晴らしい。
http://www.rollingstone.com/reviews/album/16685174/review/16927742/chrome_dreams_ii
http://music.guardian.co.uk/rock/reviews/story/0,,2190098,00.html
http://arts.independent.co.uk/music/reviews/article3073848.ece
*1:ROBERT CHRISTGAU氏の評価は、次のローリングストーンのサイトで読める。http://www.rollingstone.com/reviews/album/16685174/review/16927742/chrome_dreams_ii
