「全員一律救済」を求める原告団に対して誠意をもって応えようとしない国との間で、和解の道を探ることができず暗礁に乗り上げていた薬害肝炎問題で、突然、議員立法法を臨時国会に提出すると福田首相が表明した。
これが内閣支持率の急低下を受けてのものなのか、首相の指導力をアピールする演出なのか、わからないが、国の責任を認めるのか、またどこまで認めるのかが焦点のひとつだ。また、どのような内容になるのか、全く予断を許さない。
以下は、毎日新聞からの引用。
議員立法で薬害肝炎患者の全員一律救済を表明する福田首相=首相官邸で2007年12月23日午前11時41分、塩入正夫撮影 福田康夫首相は23日午前、薬害C型肝炎訴訟で、原告側が求めている被害者の「全員一律救済」を内容とする法案を議員立法で臨時国会に提出し、成立を目指す意向を表明した。首相官邸で記者団の質問に答えた。福田首相は「司法、行政の枠の中でとりあえず検討しなければならなかった。しかし、それだけで済むとは思っていなかったので、議員立法を進めることに踏み切った」と述べた。
法案で国の責任をどこまで認めるかについては「長い間苦しまれた患者の気持ちに配慮することが立法過程においても大事なのではないかと思う」と語った。
政府は20日、全体の7割に相当する東京地裁判決内の被害者に症状に応じた和解金を払い、残る3割の被害者には、30億円の基金(活動支援金)を活用する「全員救済案」を提示。しかし、原告側は「一律救済」ではないことから、これを拒否していた。
毎日新聞 2007年12月23日 13時01分 (最終更新時間 12月23日 15時17分)
<薬害肝炎>「一歩前進」…国側の真意は? 一律救済
12月23日20時6分配信 毎日新聞
命を削った訴えは、新たな政治決断を呼び込んだ。薬害C型肝炎訴訟で福田康夫首相が23日、議員立法による被害者一律救済の意向を示したことに、早期解決をあきらめかけていた原告たちは「一歩前進」と評価した。しかし、救済の立法措置は、原告側が求めたこともなく、詳細な内容も不明。「喜んでいいのかどうか……」。各地で緊急会見した原告は国側の真意を測りかね、満面の笑みは見せなかった。【石川淳一、川辺康広、清水健二】