アーケイド・ファイアの「サバーブズ」がグラミー賞のthe album of the yearを受賞

Suburbs

 毎年グラミー賞の受賞者をチェックしているわけではないし、最近の音楽状況にもすっかり疎くなってしまっているが、今年度のグラミー賞で、アーケイド・ファイアの「サバーブズ」がthe album of the yearを受賞した。
 アーケイド・ファイアは、カナダはモントリオール*1のインディロックバンドで、マギル大学で知り合ったWin ButlerとRégine Chassagne *2(現在は夫婦)や弟のWill Butler、Richard Reed Parry, Tim Kingsbury, Jeremy Gara、Sarah Neufeldら7人*3が中心、それに3名が加わって、マルチに楽器を演奏するバンドだ。技巧派というよりバンドとしての総合性を大切にしているという印象がある。
 2004年Funeralが50万枚以上、2007年Neon Bibleが10万枚以上、いずれも批評家の評価が高く、両アルバムもグラミーではBest Alternative Music Albumにノミネートされていた。今年は、"The Suburbs"でグラミー賞を受賞となったが、大手レーベルでないアルバムの受賞はめずらしい。アーケイド・ファイアのレーベルは、大手とは言えないMerge Recordsから出発。
 アルバム"Funeral"は、録音が進む中、Win Butlerの祖父とRégine Chassagneの祖母が亡くなったことがモチーフに付け加えられ、タイトルも"Funeral"とつけられた。
 すでにArcade FireはIndieに留まる必要はないが、自分たちがインディレーベルを気に入っていて、望んでそうしているとのことだ。
 ロック音楽批評家のRobert Christgauは、2枚目のアルバム"Neon Bible"を高く評価し、A+をつけている。
 「フューネラル」から「ネオンバイブル」、そして「ザ・サバーブス」への変化はわかる。しかし、もっとよくわかることは、「ネオンバイブル」が2007年のアルバムであり、ブッシュ大統領の破壊的な6年間の怒りの表現であることだ、というようなことをRobert Christgauが言っている。

 Arcade Fireは、オバマ大統領のキャンペーンに第一番に乗り出したバンドでもある。
 U2もArcade Fireと一緒に演奏していて、2005年11月のモントリオールでは、U2の"Where The Streets Have No Name"から"Wake Up"を演奏している。2005年にはDavid Byrneと一緒に"This Must Be the Place"も演奏している。
 Fashion Rocks at Radio City Music Hall, New York City 2005年の David BowieとArcade Fireの"Wake Up"の演奏も感動的。
http://www.youtube.com/watch?v=z6c9Ejfu-iU&feature=related
 Reading Festival 2010Reading Festival, Reading, Berkshire, UKの演奏もいい。
http://www.youtube.com/watch?v=5OmMPaLmxKg&feature=related
 2011年には、Neil Young & Arcade Fireで、Bridge School Benefitにおいて"Helpless"を演奏した。Juno Award for 'Album of the Yearで、Neil YoungがArcade Fireを評価して紹介していた。
 未見だが、モーリス・センダック原作でスパイク・ジョーンズ監督の映画"Where The Wild Things Are"(「怪獣たちのいるところ」)のPVでArcade Fireの"Wake Up"が使われている。映画ではArcade Fireの曲は使われていないようだが、スパイク・ジョーンズ監督は"Wake Up"の入ったアルバム"Funeral"を聞きながら映画づくりの作業をしたという。

*1:アーケイド・ファイアのメンバーは、テキサスやオンタリオから、カナダはケベックモントリオールに移住した経緯があるとデビューアルバム"Funeral"に書いてある。

*2:Régine Chassagneはハイチ系移民の家系。

*3:デビューアルバム"Funeral"では、Win Butler, Régine Chassagne, Richard Reed Parry, William Butler, Timothy Kingsbury, Howard Bilermanが中心メンバーとしてクレジットされ、さらに他の9名の名前が掲載されている。