「今のリーダーは、壊しながら、つくりながら、守っていかないといけない」

amamu2012-10-18

 その国の指導者をみれば国民の民度がわかるというようなことを昔に聞いて、なるほどと思ったことがあるけれど、リーダーと構成員との関係は古典的な問題、論点なのだろう。
 最近、新聞を読んでいると、リーダー論が盛んである。
 指導者らしい指導者がいないという嘆きを基本としたリーダー待望論といってもいいのかもしれない。
 それで、「強いリーダー、カリスマのようなリーダーを待望するのは敗北主義」という経営学の識者の主張を昨日の朝日新聞で読んだ。スーパーマンのようなリーダーが簡単に難問を解決してくれたら、こんなにありがたいことはない。とても簡単で楽な話である。しかしながら、現実にはそんなことはありえない。変えるためには、自分たちが立ち上がることが必要だと、その識者は説いていた。また、グラミン銀行のような海外の取り組みから学ぶことが重要だと説いていた。インドやアフリカに行って、世界を見るべきだと。
 そのインタビュー記事によれば、プロフェッショナルとは、「職業人として付加価値を上げられる人」、「去年より今年、今年より来年」「教師なら、学生たちの授業満足度が去年より高くなったか」ということだという。たしかに、それはそうだろう。
 無能なリーダーの存在に対してカリスマリーダー願望につながっているのだろうが、それは危険である。「無能なリーダーの反対語は、プロフェッショナルなリーダー」なのだと。



 同じ紙面に、歴史小説家の童門冬二さんのリーダー論も載っていた。
 時間貧乏の私は歴史小説を全くといってよいほど読んでいない。したがって童門氏も全く存じ上げていないが、鳴かないホトトギスをどうするかという話で、ホトトギスを殺してしまう信長、鳴かせてみようとする秀吉、鳴くまで待つ家康の有名な逸話に触れての意見は面白かった。
 氏によれば、これからのリーダーは、「複数の人の能力を同時に発揮する」人物でないと、現代のリーダーはもたないというのだ。
 「信長は室町時代までの古い社会体制を破壊し、土木建設が得意な秀吉は無から有を生み出した。家康は2人の先輩がやったことを微修正して長期にわたり維持管理した」と述べ、次のように語っている。

 今のリーダーは、壊しながら、つくりながら、守っていかないといけないのです。

 そして、続けて、以下のように述べている。

 現代のリーダーシップに必要なものは六つ。先見力、情報力、判断力、決断力、実行力、そして体力です。このうちトップに欠かせないのは、これで行こうと決める決断力。あとは補佐役の仕事です。ダメなのは、現場で部下の仕事を見て「何をやってるんだ。俺にやらせてみろ」というタイプ。これでは良い人材が育ちません。


 童門さんの談話で、あと面白かった点は、初めて聞いたけれど、「風度」という言葉である。

 人間には「風度」というものがあります。中国の古い言葉で、「らしさ」のことです。この人なら協力しよう、この人のためならと思わせる。リーダーには、この風度が必要だと思います。


 私は、リーダーになる器も、そのつもりもないけれど、参考になる言葉ではあるまいか。