以下、朝日新聞デジタル版(2018年10月22日05時00分)から。
「性」について、男の子にどう教えるか。各地で高校の先生たちが模索している。日本の性教育はこれまで女子向けに偏りがちだったが、性の情報が氾濫(はんらん)する中、「何が正しい情報なのかを見極める力は男子にも必要」と専門家は話す。
「性欲はコントロールできなくても、性行動はコントロールできるんです」。7月下旬、東京都港区の麻布高校(男子校)で、村瀬幸浩・元一橋大講師が生徒に呼びかけた。性的に魅力を感じることは止められなくても行動に移すことは抑制できる、という意味だ。
1年生を対象にした家庭科の授業の一環で、約30人が参加した。男子の性教育に詳しい村瀬さんは、様々な調査結果をもとに、性交の実態や性の多様性について説明し、アダルトビデオ(AV)にも踏み込んだ。「AVは男のファンタジー。わかって見るのはいいが、教科書にしてはだめ」。特に暴力的なAVに懸念を示し、「相手が嫌がることをするのはどんな場合も犯罪。性行為はお互いの合意が前提だ」と語った。
家庭科教員の斎藤美重子さんは「性の情報は氾濫している割に偏っている。性の問題を通じ、人間関係や多様性、人権などを考えてほしい」と話す。
(後略)