朝日新聞デジタル版(2018年12月25日07時20分)
週明け24日のニューヨーク株式市場は、米トランプ政権が不安定さを増していることへの警戒感から、大企業でつくるダウ工業株平均が4営業日連続で大幅に下落した。前週末比653・17ドル(2・91%)安い2万1792・20ドルと、ほぼ1年3カ月ぶりの安値で終えた。この米株安の流れを受けて、25日の東京市場で日経平均株価が2万円割れする可能性がある。
ハイテク株が多いナスダック市場の総合指数も急落。同140・07ポイント(2・21%)低い6192・92で引けた。株安によって投資家心理が悪化し、24日のニューヨーク商業取引所では原油価格も急落。国際指標となる「米国産WTI原油」の先物価格は、前週末比3・06ドル(6・7%)安い1バレル=42・53ドルと約1年半ぶりの安値で終えた。
トランプ大統領が「国境の壁」の建設費用計上を求めてつなぎ予算の署名を拒み、米連邦政府の一部機関が22日から閉鎖された。閉鎖が長引きそうだとの観測もあり、米経済への悪影響が懸念されている。マティス国防長官の退任をめぐるトランプ政権の混乱ぶりも市場の不安を深めた。
トランプ氏はまた、前週追加利上げに踏み切った米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長について、解任を探っているとも報じられた。トランプ氏は24日にも「我々の経済が抱える唯一の問題はFRBだ」などとツイート。FRB攻撃を過熱させたことで、金融市場には動揺が広がっている。
市場の不安を抑えようと、ムニューシン米財務長官は23日に米金融大手首脳と相次ぎ電話会談し、米経済と金融システムの健全性を確認し合ったという。また、24日にはFRBなど主な金融当局と市場安定化などについて協議した。ただ、同様の協議はリーマン・ショック後にも開かれており、逆に市場の警戒感を高める要因になったもようだ。
米株式市場は24日、午後1時までの短縮取引。市場参加者が少なかったため、通常よりも値動きが激しくなった面もある。25日はクリスマス休暇のため休場。
米中対立の激化や世界経済減速への懸念が強まっていたところに、FRBが緩やかな利上げを維持する姿勢を示したことで、ダウ平均は前週だけで6・9%下落した。週間ではリーマン・ショック後の2008年10月以来、ほぼ10年ぶりの下落率だった。投資家はリスクを避けようという姿勢を強めており、12月の月間では大恐慌時の1931年以来、87年ぶりの下落率となる公算が大きい。
東京市場では前週、日経平均株価が2万円割れ寸前まで迫った。米株安の流れが25日の東京市場に連鎖する可能性もある。(ニューヨーク=江渕崇)