以下、朝日新聞デジタル版(2019/10/30 21:15)から。
2020年度から始まる大学入学共通テストで使われる英語民間試験をめぐり、混乱が広がっている。萩生田光一文部科学相は30日の衆院文部科学委員会で「基本的には円滑な実施に向けて全力で取り組む」と述べたが、与党内からは延期論も出始めている。
「延期になれば文科省の信頼は地に墜(お)ち、入試改革が困難になる」。文科省幹部は30日、延期論に危機感を募らせた。
11月1日には、受験に必要な「共通ID」の申し込み開始の「節目」を迎える。業者が会場や申し込み方法などの詳細を発表する期限にもなっていた。
文科省は、民間試験の活用を大学入試改革の目玉の一つと位置付け、20年度の実施を前提に成績提供システムの導入を進めてきた。一方で、民間試験をめぐっては、当初から受験生の住む地域や家庭の経済状況などによって、受験機会に格差が生じる問題などが指摘されてきた。
そこで、文科省は、格差を減らす対策として、大学に送ることができる成績を、高校3年の4~12月に受けた原則2回までに限ったり、低所得世帯の受験料減免を業者に求めたりしてきた。来年度予算の概算要求には、離島の受験生の交通費や宿泊費の一部を補助する支援策を盛り込んだ。
だが、根本的な課題の解決には至らず、今年9月には全国高校長協会(全高長)が、20年度のシステム稼働を延期するよう文科省に要望。大学の関係者などからも反発が続いていた。
このまま延期となると、どんな影響が出るのか。
(後略)
(増谷文生、宮坂麻子、山下知子 矢島大輔、宮崎亮、永田大)