以下、朝日新聞デジタル版(2019/11/20 23:10)から。
２０２０年度から始まる大学入学共通テストへの活用が見送られた英語民間試験をめぐり、下村博文元文部科学相が昨春、東大が入試で活用するよう文科省に指導を求めたとの報道について、国会で質疑があった。萩生田光一文科相は、野党議員から学問の自由を保障する憲法２３条に違反する恐れを指摘され、「指摘はあたらない」と答弁した。
下村氏は２０日、報道陣に対して、自民党の会議での発言そのものは認めたが、「政治的な圧力というふうにはまったく当てはまらない」と主張した。
２０日の衆院文部科学委員会で、国民民主党の城井崇氏は、１９日夜のＮＨＫニュースについて質問。昨年４月の自民党の会議で下村氏が、英語民間試験を入試で活用するよう「文部科学省はよく東大に指導していただきたい」などと発言したとする内容を問うた。
萩生田氏は「文科省では、東大のみならず全ての大学に、この自民党の会議より前から活用を促してきた」としたうえで、下村氏の発言を受けて文科省が活用を働きかけた事実を否定した。
城井氏が、下村氏の発言は、憲法２３条に抵触する恐れがあり、教育基本法が禁じる教育への不当な支配にあたると指摘すると、萩生田氏は「党内の会議で自由闊達（かったつ）な意見を申し上げることは保障されるべきだ」と答弁した。一方、「大学に対して直接ものを言うっていうことになれば、少し考えなければならないと思うが、直ちに憲法を超越しているという指摘はあたらない」と答えた。
この後、城井氏は、下村氏が昨春に東大の五神真総長を自民党本部に呼びつけたとする、今月の週刊新潮の報道に言及。萩生田氏は「文科省としては承知をしておらず、東大に問い合わせたところ、文科省や政治家からの指導はなかったと聞いている」と答えた。
質疑では、立憲民主党の川内博史氏も、五神総長がこの時期、元文部科学副大臣の遠藤利明氏とも面会したことについて質問した。これに対して伯井美徳・文科省高等教育局長は「五神総長に確認した。英語４技能評価の重要性等について意見交換をするため、東大の方からアポイントをとって、その年の４月中旬に訪問したとの記憶があるとのこと」と答えた。（宮崎亮、河合達郎）
