「「説明責任果たせ」 国会閉会、開き直る政権に怒りの声」

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以下、朝日新聞デジタル版(2019/12/9 22:39)から。

 「桜を見る会」の真相にベールがかぶせられたまま、臨時国会が9日閉会した。公私混同が疑われる問題について、公文書が捨てられ、にもかかわらず「今後とも丁寧な説明をさせていただきたい」(菅義偉官房長官)と開きなおる――。モリカケ問題から繰り返される光景に、市民から憤りの声があがった。

 「すべてを明らかに」。東京・永田町の官邸前には9日夜、30人ほどが集まり、抗議活動をした。

 川崎市の会社員伊藤真由美さん(42)は「税金の私物化が目に余る。首相の国会答弁を聞いても、説明責任を果たしているとは到底言えない」と語った。

 東京都練馬区の放課後等デイサービス職員、守屋真実さん(61)は、野党議員から開示請求があった当日、内閣府の名簿が廃棄されていたことについて「政権のモラルの無さと、良心を失ってしまったかのような官僚の対応、それらを許してしまっている国民の無気力さが残念」と話した。

 菅官房長官は当初「首相枠、政治枠という特別なものはありません」と、事実と異なる説明をしていた。11月中旬、安倍晋三首相は桜を見る会について「国会から求められれば、説明責任を果たすのは当然」と語った。しかし与党は予算委員会の開催要求に応じず、国会規則を無視した。

 法学者や政治学者らで作る「立憲デモクラシーの会」は9日会見し、こうした姿勢が「社会に絶望とシニシズム冷笑主義)をもたらしている」(西谷修・東京外語大名誉教授)と懸念した。「正論を積み重ねてもダメだと無感覚になっていく」

 石川健治・東大教授(憲法)は「いつまで桜を見る会の問題を取り上げているのかという声が出てくるかもしれない。だがこれ以上本質的な問題はない」と話した。「公開性は統治システムの大前提。名簿廃棄などの隠蔽(いんぺい)で、統治システムが日々毀損(きそん)されている」と批判した。

 国会の外では、国内外のメディアなどが加盟する日本記者クラブが10月以降、安倍首相に年内の会見開催を求めている。

 1969年のクラブ発足以降、年1度ほど首相会見を求めてきた。福田赳夫中曽根康弘両氏は最多で4回ずつ実施。先日、在任最長記録を更新した安倍首相は2007年と13年に会見したが、その後6年7カ月にわたって求めに応じないのは歴代最長だという。

 官邸側からは「時間がとれない」と回答が保留されているという。同クラブの土生(はぶ)修一専務理事は「ぜひ応じてほしい」と話す。