以下、朝日新聞デジタル版(2020年6月14日 9時11分)から。
米南部ジョージア州アトランタ市で12日夜、黒人男性が警官ともみ合いになった末に、撃たれて死亡する事件があった。市長は13日、事件を非難し、市警の本部長は辞任。黒人への暴力に対する抗議デモが全米で続く中での事件で、警察に対する批判の声が一層高まりそうだ。
事件の詳細を調べている州捜査当局によると、12日午後10時半ごろ、ハンバーガー店のドライブスルーレーンに止まった車の運転手の男性が居眠りをしているとの通報があった。
現場に着いたアトランタ市警の警官が飲酒検査をしたところ、基準値以上のアルコールが検出された。そのため逮捕しようとしたが、男性が抵抗したため、スタンガンの一種「テーザー銃」を取り出した。だが、男性はそのテーザー銃を奪い、その後、警官から撃たれたという。
男性は市内在住のレイシャード・ブルックスさん(27)。ケイシャ・ボトムズ市長は13日、会見で「これは、命を奪う武力行使として正当化できない。警官の即時解雇を求めた」と述べた。今回の事件を受け、すでに現場付近で抗議の声があがっている。
米国では5月、ミネソタ州で白人警官が黒人男性の首を圧迫して死亡させる事件が発生。直後から抗議デモが各地に広がった。デモの参加者と丸腰で対話する姿が先日、話題になっていた市警のエリカ・シールズ本部長はこの日、辞任を申し出て、受理されたという。
2018年の州知事選に立候補したステイシー・エイブラムス氏はツイッターで「ドライブスルーでの居眠りが、死で終わるようなことがあってはならない」と厳しく非難した。(ニューヨーク=藤原学思)