ATMからカードが出てこない

 一昨日行ったアイリッシュパブのボグ(The Bog)の周囲には、レストランがたくさんある。クライストチャーチにはATMも数多くあって、連れ合いが現金を下ろしたいと、娘と二人で近くのATMに向かった。
 私の眼の前には、シティモールの端に立っているBridge of Remembranceという割と大きな建造物がある。橋というより門というべきものであるが、これは何と訳したらよいのか。「追憶の橋」や「追憶の門」なんて日本のガイドブックに書いてあるものもあったが、なんだか恋の思い出やロマンスのイメージがしてしっくりこない。このremembranceは、きちんと確かめていないが、確実に戦争関係を記念して建てたものに違いない*1。悲惨な戦争体験を忘れてはいけないという主旨で建てられた橋であるとすれば、あまり上等な訳とは言えないが、「悲惨な戦争体験を忘れない門」くらいの方がわかりやすい。そんなことを考えていたら、若い青年がATMの後に並んでいることに気がついた。どうやら相棒たちはお金の引き出しに手間取っているらしい。
 「お金も下ろせないし、カードも出てこないのよ」と連れあいが言うので、私は次に待っている青年に、「すみませんね」と言いながら彼女が差し出したレシートらしきものを見ると、”Card Retained Please contact your branch”と印字されている。後で待っていた青年ものぞきこんで、「カードを取られたんだね。この銀行の最寄りの支店に行くしかないよ」と言うので、このATMを管理しているとおぼしきナショナル銀行に事情説明をしに行く。担当してくれた女性は、「(THE BOGの近くのATMで)取られちゃったカードはどこに集中するの」なんて仲間うちに聞いている。あのATMで取られてしまったカードは、どうやらこの支店に集中するらしく、明日来るように指示される。大事には至らぬようなので安心した。とりあえずこれでカンタベリー大学に行くことができる。

*1:この門は、第一次世界大戦に出兵した兵士を記念している。