エイブルタズマンに浮かぶ船の宿で早起きをする

悪天候の中でシーバスを待つ

 昨夜はかなり早めに寝たので、朝早く目が覚めた。まだ薄暗い中、二階のデッキにのぼる。デッキに長時間いると寒くなってくる。小鳥たちはすでに朝食の時間らしい。あたりには波の音と鳥の声しか聞こえない。いろいろな鳥が船にとまりにきて、見ていて楽しい。
他の乗客も起きてきて、そろそろ朝食の時間だ。朝食のテーブルで、ベジマイトの話になった。スウェーデンカップルの女性が、ベジマイトは食べ物じゃないと話している。英語をよく喋るこのスウェーデンカップルは、ニュージーランドかオーストラリアで仕事をしたいという目的でオセアニアに来たらしい。「あんたたちくらい英語が話せりゃ大丈夫だろうが、ニュージーランドよりオーストラリアの方が仕事を探せる確率は高いのではないか」と、地元の人間が言っている。実際このスウェーデンカップルの英語は母語話者なみである。メルボルンのリンも、英語の母語話者ではないと知って驚いているくらいだ。
 ベジマイトは、パンに塗るオーストラリアの健康食品で、ビタミンBを豊富に含んでいる。一見するとチョコレート系のペーストにみえるのだが、全く甘くなく、一般的にいってあまり美味しいものとはいえない。なんでも小麦胚芽などを発酵させたものらしく、ベジマイトの癖のある味は、日本の納豆と比較する人がいるくらいだ。メルボルンのリンによれば、ベジマイトはお湯でわって飲むこともあるらしい。スウェーデン人は「ベジマイトを飲むなんて信じられない」と言っている。このニュージーランドのマーマイトという奴はベジマイトと名前が同じではないけれど、同種類のものである。ニュージーランドの子どもたちは、このマーマイトとウィートビックスというシリアルで育つという人もいるくらいポピュラーな食べ物であるようだ。
 朝食を済ませ、二階のデッキで本日の昼食用のサンドイッチをつくる。メルボルンの夫婦のリンとメールアドレスを交換して別れた。今日彼らはまたシーカヤックに出かけるが、私はこのアンカレッジからハイキングを楽しみ、トンガ湾(Tonga Bay)で3時15分のシーバスに乗って帰る予定になっている。指定の時間までにハイキングを終えて指定の場所まで自力で到着しなければならない。船の中でゆっくりもしてられない。