タクシーに乗ることは全く問題ないが、ハミルトンのバス時刻表をジュディからもらっていた私はようやくバスに恐怖心なしで乗れるようになっていた。「恐怖心」というのはオーバーかもしれないが、不慣れな場所では、みなそんなものだと思う。
私がよく使うのは、ルートNo.10なのだが、これはトランスポートセンターの21番ゲートあたりから出発する。バスの前面に行き先が書いてあるので、迷うことはない。このルートに限らず、ハミルトンのバスというバスは日曜日には全く運行しない。ここがニュージーランドのすごいところだ。サービスがよいと言われている日本社会の便利さは、労働者が交替で休みを取るなら別だけれど、労働者が奴隷のごとく働くということと裏腹だ。ここニュージーランドでは、運転手もきっちり休む。ジュディも言っていたが、日曜日は、家庭料理も、はりきっては作らないという。教会に行くかどうかは別にして、日曜日はまさに安息日なのである。この前の日曜日に、40分ほどかけて家から町の中心街まで歩いてみたが、庭いじりをしたり、家の修繕をしていたり、オートバイの手入れをしていたりと、みな思い思いにのんりびりと過ごしていた。
ということで、バスは「月曜日から土曜日」(Monday to Saturday)なのだが、私の乗るバスは、朝方と夕方は30分おきに出るが、日中は1時間ごとのペースである。6時以降は、「遅い夜のサービス」(Late Night Services)ということで、やはり1時間おきのペースで、夜の10時43分には終わってしまう。これ以降はバスを使って町の中心街からアレックスとジュディの家まで帰って来ることはできない。タクシーがあるから、タクシーを使えば問題ないけれど、ルートNo.10は、一日20本のバスの運行だ。田舎と言ってしまえば、それまでだが、ハミルトンは、それでもNZでは内陸部最大の都市なのである*1。けれども、それほど需要があるわけではないし、のんびりしたハミルトンだから、こんなもので全く問題がない。
バスの中でも、人々はよく挨拶をする。私も同じバスによく乗る知り合いが一人できたほどだ。彼は、裁判所で犯罪人の呼び出しや雑事をしているという。大学でマオリ語をやったという。話好きで、なかなか面白い男だ。