オールブラックス、ワラビーズに、16対7で勝つ

 さて、オールブラックスである。アレックスもジュディも、もちろんオールブラックスのファンである。彼らに付き合ってオールブラックスの試合をテレビで観るのは、これで私も二回目になる。
 サモア出身で、ドレッドヘアー(dread locks)のオールブラックスのキャプテン・タナ=ウーマンガ。マーシャル、スペンサー。ジョー=ロコココ、大男のジャック。ミアラームゥ、テカータ、モリアヒーナ、ダグ=ハレットと、2回目の観戦で、スポーツにまるで関心のない私も15名のオールブラックスの選手の中の数人を覚えてしまった。
 雨がずっと降りしきる中、試合が行われた首都ウエリントンの場所は、ケーキティン(Cake Tin「ケーキを焼く型」)とあだ名がついている場所だとアレックスが教えてくれた。 35分ほどゼロ対ゼロで試合はすすみ、雨が降りしきる中、ボールも芝生も滑ることが少なくなかったが、オールブラックスが、試合全般においてボールを支配することが多かった。
 試合開始後28分に、オールブラックスフリーキックのチャンスを得たが、ダニエル=カーターのキックはアンダーだった。ボールが水を吸って重たいようだ。ワラビーズのディフェンスが素晴らしく、なかなか点が入らない。試合の均衡を破ったのは、最初のハーフ(first half)は34分、ダニエル=カーターのフリーキックで得た3点。これでハーフタイムを迎えた。
 後半、45分に、ワラビーズのブレンダ=キャノンが、オールブラックスのミアラームゥの顔面に一発。イエローカードをくらって、これで得たフリーキックをダニエル=カーターが決めて、オールブラックスワラビーズに、6点のリード。6対0(6points to nil)と、ワラビーズを離す。62分には、ようやくきれいな形から、ダグ=ハレットがトライを決め、同じくダニエル=カーターがキックを決め、13対0と、ワラビーズオールブラックスが突き離した。70分には、ワラビーズのキックを、自分陣営のゴール前でロコココがキャッチしそこない、そのボールを魚雷艇のように滑り込んでトライを決められ、キックも決められて13対7と追撃されるが、これはラッキーともいうべき得点だった。78分、試合終了直前にワラビーズディフェンスがウーマンガの首を絞め、ペナルティによるフリーキック。これを、やはりダニエル=カーターが決めて、16対7で、ワラビーズを突き離し、オールブラックスの勝利となった。
 めでたし、めでたし。
 何分、スポーツに詳しくない私のレポートゆえ、間違いがあるかもしれないけれど、ニュージーランドの市民生活の勉強として、ラグビー観戦は、私のようにルールに無知な者にとっても、なかなか面白い。思うに、ラグビーは、身体のぶつかり合いをもろともせず、ただただボールをひたすら追いかけ、ボールを前進させることにだけ集中する「格闘技」さながらだ。前進させるべきボールを前にパスしてはいけないというのも、いささか矛盾していて面白い。
 「交戦する」「交える」という意味があるから、なるほどとは思ったけれど、スクラムの際に、エンゲイジ(engage)という単語を使うことも始めて知った。他で、気がついた語彙は、"the 22 (meter line)""gap""blind side""pressure on〜""Now there is a chance""still in""clear""drive""first half""half time""full time"等々。
 さて、日記は思ったよりも長くなってしまった。アレックスとジュディはとうにゴルフに出かけてしまったから、私もアレックスご自慢のスパ(風呂)にでも入ってリラックスすることにしよう。