広島市民球場での「ひとり股旅」が近づいているらしい

 広島市民球場での「ひとり股旅」が近づいている。奥田民生の「ひとり股旅」のDVDは観たことがあるのだけれど、実際の「ひとり股旅」のライブを見る機会は、残念ながら、今回も無理のようだ。
http://blog.excite.co.jp/ot/1223943/
 ところで、この「ひとり股旅」のDVDだが、前半は、演奏が部分部分しか採録されていないので、一曲すら完全に聞くことができない。
 ロードムービーさながらで、演奏は実に「中途半端」。
 会場から会場への移動ドライブの様子とか、各地のラーメン店をチェックしてラーメンを食べてる様子とか、ようするに移動中や舞台裏でリラックスしている場面が大半で、途中、釣りをしに寄り道する場面まで挿入されている始末。
 次の運転手を決めるために、黒ヒゲのオモチャまでもが登場し、運転手は黒ヒゲの格好をしないといけないというような罰ゲームまで決まって、スタッフの気分がエスカレートしていく様子が映し出される。
 パフォーマンスとしては、どうかというと、これまたいい加減。大体曲順も決まっていないというか、決めてない。その場の雰囲気でやるというのが基本方針。
 ビールやウィスキー、タバコを飲みながら、演奏していて、弦が切れる。よく間違える。大体自分の歌詞を覚えてない。これは海外のアーティストには見られない傾向だろう。まぁ、箱が小さいから、よく言ってあげるなら、リラックスしているだけなんでしょうけどね。
 ところが、武道館ではさすがに決める。各地でおこなわれた小さい箱でのライブも、本人が言っているように、「練習」程度だったに違いない。
 こう考えてみると、武道館のような大きな箱でのプレッシャーには、ものすごいものがあっただろう。エレキなら多少はごまかせるかもしれないけれど、アコースティックギター一本じゃ無理だ。おそらく、奥田民生は、そこまで自分を追い込みたかったに違いない。
 ということで、この武道館ライブでの「雪が降る街」は、実に素晴らしい。日本人なら、是非とも大晦日に聞いてほしい名曲だ。あと「イージューライダー」とか「コーヒー」も、いい。
 だから、DVD「ひとり股旅」の基本的トーンは、「弛緩」と「緊張」であり、各地の小さい箱の家庭的な雰囲気から、緊張感が一気に高まる武道館と大阪城ホールライブへと、盛り上がりが楽しめる。とても面白いロードムービーでもある。
 この全国ツアーがすっかり終わったあとで、スタッフと一緒に奥田がエレベータに乗る場面が最後に映し出され、エレベータのドアを出て行く際に挨拶を交わしてお疲れさんという顔をするのだけれど、あのときの疲れた顔は、カメラ目線ではなしに実に正直に映しだされた素顔の表情だった。
 OTの「だらだら感」「不真面目なようで真面目」という姿勢は、21世紀を生き抜く上で、日本人には必要不可欠な資質だと私はかたく信じているので、奥田民生に対する期待がどうしても高まってしまう。
 今回の広島市民球場での「ひとり股旅」も、本人にとってはものすごいプレッシャーだろう。
 俺には全く想像もつかない。