ナルワヒアにあるタミハナの家に、再度遊びに行く

 マッスルを生で食べることを教えてくれたタミハナの家に再度遊びに行くことを、私は12月に約束していたのだが、急遽日本に帰国しなければならなくなったため、その約束を果たせないでいた。
 タミハナとはメールで連絡を取り合っていたが、今日自宅に電話をしてみたら今日が都合がいいというので、早速ナルワヒアまで出かけることにした。
 みやげ物として、日本から持ってきたワサビ、インスタント味噌汁を考えた。
 それから、日本食を作る約束をしていたので、ジュディの家にある電気炊飯器と、オーストラリア米一袋、それに日本から持参した包丁、そして刺身醤油と冷蔵庫に残っていたワサビ。これまた食料庫に残っている大量の海苔。そして、これまた残り物の寿司酢。これら一切合財ダンボール箱に入れて、車に積み込んで出かけた。
 ナルワヒアのワイカト川に沿って建っている彼らの家は、タミハナの奥さんのニコルの話では、土地が2万ドル、家が9万ドルで数年前に買ったと言っていた。合計、11万ドルだが、彼女の推測では、今なら13万ドルくらいするのではないかという。
 日本円なら、土地が140万円、家が630万円、合計770万円で彼らは購入し、現在の価格なら、910万円。レートは1ニュージーランドドルを70円で計算して若干低く見積もっているから、土地と建物を合わせておよそ1000万円というところだろう。
 ニュージーランドは、贅沢をしないで慎ましく暮らせば、一家で、年間200万円強で暮らせるという話を聞いたことがある*1
 だからこの家は、ニュージーランドの一人当たりの平均年収約200万円の5倍の値段、世帯あたりなら、共稼ぎが多いから、約2.7倍の値段ということになる。
 この彼らの家は、まさにワイカト川に面して建っているのだが、家の横には、野原があって、車なら、楽に5台くらいとめられそうなスペースがある。カヌーを保管している倉庫もある。そこに、家が平屋で建っている。ワイカト川の側には、ベランダがあり、ワイカト川と、ナルワヒアの中心に位置する公園と、例の歴史的跡地でもあるポイント(the Point)が一望のもとに見渡せる。近くには、ハカリマタ保護地(Hakarimata Scenic Reserve)があるから、ハイキングも楽しめる。
 前にも紹介したが、ナルワヒアは、マオリの女王が住んでいる町として有名だ。
 伝統的にマオリは男性中心社会であったから、マオリの王は男性ばかりであるのだけれど、現在の女王に決まるまでは、結構な議論があったと聞いている。
 だからナルワヒアは、カーフィア同様に、マオリにとって極めて重要な場所である。当然、ナルワヒアに住んでいるマオリ人口が少ないはずがない。
 そしてナルワヒアは、美しいところだ。3月には毎年、有名なレガッタがここで開催されるから、そのレガッタ見物も是非したいものだと前から私は考えていた。
 ところで、先ほど、ナルワヒアの家の値段を少しだけ紹介したが、ハミルトンから比べると、ナルワヒアの不動産価格は、若干安いようだ。これは、どちらかと言えば、白人がナルワヒアに住みたがらない傾向と関係があるらしい。
 世界のどこでもそうだが、マイノリティが住み始めると土地の値段が下がる傾向にあるのと、これは同じようなものなのだろう。逆にいえば、マオリにとってナルワヒアは住みやすい所ということにもなるが、ナルワヒアでは、ちょっとした犯罪が多いというような白人側からの偏見もあるようだ。
 ニュージーランドでは、ちょこちょこした軽犯罪が多いようだが*2、ナルワヒアで起これば、ああ、やっぱりナルワヒアだからということになる。他の町でも同様なことが起こっているのにと、以前マオリ語の講師のヘミが私にそう説明したことがある。

*1:斉藤完治氏の「極楽ニュージーランドの暮らし方」など、参照のこと。この本で紹介されている2001年の国勢調査によれば、ニュージーランド人の平均年間所得は約188万円。共働きが多いニュージーランドの世帯あたりの平均所得は、約370万円になっていると紹介している。

*2:ほとんどのキーウィが、ニュージーランドでは、大きな犯罪は少ないけれど、小さな犯罪は、ちょこちょことあると私に忠告してくれるけれど、まだ軽犯罪にも出会ったことがない。