あの「砂の器」の乞食父子の旅のロケは、野村芳太郎、橋本忍を含め、「わずか10人のスタッフ」で撮影したことから、力仕事もやらないといけないことから大変な撮影だったようだが、野村芳太郎監督は「こんなぜいたくな撮影はない」と述べていたそうだ*1。
野村芳太郎監督の持論「スタッフは最小限に」は、画面の空気を大事にしてきた手抜きをしない野村さんの職人気質から来ているという。
仕事をやる上での哲学、仕事で一番大切なことを教えてくれる仕事場は重要だ。ベテランと若手の交流やせめぎ合いが重要であることは、どこの仕事場でも同じである。そうでないと、いい仕事にはならない。
仕事とは、そういうものだ。
黒澤明、野村芳太郎、山田洋次という日本が生んだ一連の名監督の歴史的流れから、あらためて仕事というものはいかにあるべきか、考えるところがあった。