移民不在の日

 5月1日は世界的にメーデーだったが、アメリカ合州国では、移民規制強化に対して「移民不在の日」というものが実施された。これは、1200万人とも2千万人とも言われているアメリカ合州国の不法移民が、勤労・通学をボイコットしたら経済的にどういう影響を与えるかを示すために、5月1日を「移民のいない日」として、不法・合法のヒスパニック系移民を中心に大規模なボイコットが全米的に一斉におこなわれたものだ。カリフォルニアの学校では、生徒の4分の1が学校を休んだという。
今朝のCNNは、Massive Immigration boycotts in U.S.と、これを報道した。
 これはすでに大昔の話なのだが、1982年に、アメリカ合州国の、メキシコとの国境線のあたりをバス旅行している際に、国境パトロール隊(border patrol)がバスに乗り込んできて、パスポートの提示を求められたことがあった。経済格差を主な理由として、不法に国境を越えていく移民が絶えなかったからだ。彼らは、リオグランデ川を越えてくるため、背中を濡らして来るということから、wetbacks*1(背中の濡れた奴ら)と呼ばれていた*2
 不法移民の数は実にものすごい数で、多くのヒスパニックたちは、自分たちを犯罪者扱いせず合法化すべきであると訴えている。
 メキシコ側からすれば、国境を越えさえすれば、仕事はあるし、同じ労働でもそれを高く買ってくれるから、合州国で働きたいと思うのは自然だ。その一方、合州国内のミドルクラスの労働力の価格が下げられてしまうから、プアホワイトの不平不満がある。
 きつくて安い仕事の場合、国内だけでは労働力を確保できないという雇用者側の事情もある。安いかどうかは別にして、とにかく労働力が必要だという事情があるのだ。
 アメリカ合州国は、a nation of nations(他民族国家)と呼ばれるが、さまざまな民族を束ねる大義名分が常に必要とする国とも言える。

*1:wetbacksは、derogatory(軽蔑的な用法)で、「メキシコ野郎」ということ。

*2:5月8日のCNNの'24hours on the border'という特集で、メキシコから列車に飛び乗って国境越えをする者が後を絶たず、手足や命を落とすものも少なくないと報じていた。