アーカイブシリーズやブートレッグのもつ意味

 1970年から1971年にかけてニールヤングがアコースティックのソロツアーをおこなった理由の一つに椎間板の病気があった。病気のせいで、エレキギターももてないほどで手術が必要だった。
 そのソロツアーでは、A Man Needs A Maid、Old Man、The Needle and the Damage Doneなどは演目として定番だった。
 マッセイホールのライブのように、今回、Johnny Roganを読んでみて、こんなにもライブをやっていたのかと驚いた。CSNYにしても、Neil Youngにしても、ライブ演奏はしていても、レコードとしてリリースしないというのは、彼らにとってはよくあることだ。そう後で知ったけれど、当時の私の常識からはそんなことは見当もつかなかった。
 ファンがニューアルバムを長い間待たされた理由は、二枚組のライブアルバムという話もあったし、内容のいいブートレッグNeil Young At The Los Angeles Music Centerが出された問題もあったからで、結局、どのようなかたちでアルバムを出すのかという問題があったと言えそうだ。
 ナッシュビル録音の際に、ピートアッシャー、リンダロンシュタット、ジェイムズテイラーが調整室にいて、ニールヤングの素晴らしい演奏を録音したとき、ドラムスのケニーが「こいつはナンバーワンレコードだ」と一つ指を示したという逸話が残っている。その後、リンダとジェイムズのバックボーカルを重ねたというわけだ。
 ニールヤングの牧場の納屋を改造してスタジオにした写真。Out On the Weekendのハーモニカかハーモニカホールダーにニールヤングが触れる音。当時、高校生だった私にとっては、こうしたものを眺め聞きながら、ニールヤング体験するのに、Harvestというアルバムは十分な内容を持っていたが、自分がそれなりに成長するにつれて、このアルバムが物足りなくなってきたことも事実だ。
 こうしたものを埋めてくれるのが、今回のアーカイブシリーズだったり、ブートレッグだったりするに違いない。