井上ひさしさんの「子どもにつたえる日本国憲法」を読んだ

子どもにつたえる日本国憲法

 国民投票案で論議になっている還暦を迎えた憲法
 その憲法記念日、そして子どもの日ということで、井上ひさしさんの書かれた「井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法 (シリーズ 子どもたちの未来のために)」を読んだ。
 「はじめに」のところで、井上ひさしさんは次のように書いている。
 「いまでは信じられないことですが、昭和二〇(一九四五)年の日本人男性の平均寿命は、たしか二三.九歳でした。戦地では兵士たちが戦って死ぬ(あとでわかったのですが、戦死者の三分の二が餓死でした)、内地では空襲で焼かれて死ぬ、病気になれば薬がないので助かる命が助からぬ、栄養不足の母親を持った幼児たちは栄養失調で死ぬ。そこで大勢が若死にしたのです。女性の平均寿命も、三七.五歳だったはずです」。
 こうした教訓から、何が大切か、学び取って、痛切な願いとしてつくられた国のかたちが憲法に他なりません。世界の人びとに示した私たちの決意は、平和主義、国民主権基本的人権の尊重という三原則に込められているし、これら三原則は、世界史の流れに合致した価値観に他ならないのです。
 「井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法 (シリーズ 子どもたちの未来のために)」は、子どもはもちろん、大人にこそ読んでもらいたい良書である。