「憲法巡る訴え 各地で」

amamu2018-05-07


 以下、朝日新聞デジタル版(2018年5月7日11時19分)から。

 日本国憲法が施行されて71年となった3日、県内でも憲法について考える集会が開かれた。憲法改正をめざす人たちの集会では、安倍晋三首相のビデオメッセージが中継で映し出され、自衛隊の明記などを訴えた。一方、改憲に反対する人たちの集会では、参加者らが「首相がめざす9条改正は、日本を戦争のできる国にするもの」と批判した。

◆「改正へ世論喚起を」

 県内では、美しい日本の憲法をつくる県民の会主催の「憲法現代日本を考える集い」が5会場であった。岐阜市のハートフルスクエアGには市民や県議会議員など約80人が集まり、「憲法改正の世論喚起のため、幅広い啓発活動を推進する」などとした声明文を採択した。

 会場では、この日に都内であった「公開憲法フォーラム」の様子も中継された。ビデオメッセージで安倍首相が「憲法をめぐる議論はこの1年間で活性化、具体化した」「憲法改正に向けて共に頑張って参りましょう」と語りかけると、会場から拍手が起きた。

 同会共同代表の白橋国弘元県議(77)はあいさつで「改正によって自衛隊の法的安定性を確保したい」と述べ、その後の記者の取材に「自衛隊があるから戦争が起きる、というわけではない。他国が攻めてきたときのために自衛隊がある。本当は9条を全部変えて、普通の国が持っている国防軍にしたい」と話した。

 また、集会で意見表明に立った岐阜市の心理カウンセラー、熊田義弘さん(45)は「一番小さいコミュニティーである家族という言葉を憲法に盛り込んでほしい。家族の形がずれると、虐待などの問題が起こる」と主張した。

◆「武力で平和作れず」

 改憲に反対する人たちも集会を開いた。岐阜市内ではこの日、名古屋学院大の飯島滋明教授(憲法学)が「安倍9条改憲と私たちの課題」と題して講演した。改憲の動きに歯止めをかけようと、「戦争をさせない1000人委員会」の県実行委員会などが開き、56人が参加した。

 「9条が改正されたら、世界中で戦うことが自衛隊憲法上の任務になる。自衛隊員はそれを本当に望んでいるのでしょうか」。飯島教授は集団的自衛権の行使を認めた安保法制などに触れ、「戦争ができる国づくりが進んでいる。『武力では平和をつくれない』というのは、悲惨な戦争を通じて人類が経験してきた事実」と話した。

 名古屋市から参加した会社員、藤井清孝さん(49)は「普段の生活では身近ではなかったけれど、改めて憲法9条が今の平和に寄与しているんだと感じた」と話した。

 また、2人の子どもを持つ各務原市の浜上希(のぞみ)さん(49)は、飯島教授の「国民投票が『国民意思』の名目で、権力者の地位や政策を強化するために悪用される可能性がある」という指摘を踏まえて、「憲法改正国民投票が、政権に都合の良いタイミングで行われてしまうのではないか」と不安を口にした。

(松沢拓樹、松浦祥子)