深沢七郎原作の「楢山節考」の木下恵介監督による映画化。木下恵介監督の傑作と言われている「楢山節考 [DVD]」を初めて観た。
田中絹代の演技がすごい。とくに楢山に雪が降り始めて、置き去りにした母親のところまで戻る情景があるが、その際の田中絹代が迫真の演技をする。
テーマは、どうにもならない貧困の中で生きざるをえない人間、母子を中心とする家族に対する共感である。
全編、セットによる撮影というところが木下恵介監督のこだわりだったのだろう。山田洋次監督のロングセラー、フーテンの寅さんの映画の冒頭の夢物語のセットのような印象があり、歌舞伎をベースにした寓話的な演出が、悲惨な物語を見やすくしていると言えるかもしれない。
1958年の作品。