Neil YoungのHeart of Gold(DVD)

Heart of Gold

 ニール・ヤングのDVD、ニール・ヤング ハート・オブ・ゴールド ~孤独の旅路~ スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]は、ナッシュビルのライアンオーディトリアムでのライブコンサートジョナサン・デミ監督が撮ったものだ。前にも紹介したが、ジョナサン・デミ監督は、Talking Headsのコンサート映像を撮ったことでも有名な監督だ。
 カントリーミュージックの祭典として有名なグランドオープリーがおこなわれたことで知られるライアンオーディトリアムは、取り壊しこそ免れたものの、周囲に高層ビルが立ち並ぶものだからステンドグラスに日差しが当たらないと、エミルー・ハウスが話していた。文化警察や環境警察というものがあれば、保存に反対の金儲け屋を逮捕すべきというようなことをエミルー・ハリスが付録の特典映像で言っていたが、これは同感だ。
 Heart of GoldのSet listは、オープニングから前半がPrairie Windからのものと、後半は自作のナッシュビルゆかりの曲目で構成されている。コンサートの会場といい、ハンクに扮したニール・ヤングの衣装といい、アメリカンミュージックに対するリスペクトが感じられる。
 Prairie Windからの曲目は、まだCDが発売されていないときのもので、その意味で初演をそのままDVDに収めたものになっている。
 Prairie Windの歌詞は、わかりやすい。しみじみとした人生を歌う唄が多いからだ。
 2005年の動脈瘤の手術から、死ぬ前に何か言い残しておきたいという気持ちが強くなったに違いない。亡くなった父親のこと、愛用しているギターのこと、愛する娘のこと、長年親交をあたためてきた友人たちのこと、長い間連れ添ったパートナーのこと。そうした昔のことが織り込まれ、短くない歴史を感じる中で、環境保護や政治批判のテーマがさらりと横たわっている。
 ハンク・ウィリアムズが所有していたギターをニール・ヤングが入手した逸話を紹介してから歌うThis Old Guitarは素晴らしい。


 こいつは俺のものじゃない
 しばらく俺のところにいるだけ


 This old guitar ain't mine to keep
It's mine to play for a while


 フィナーレを飾るHarvest Moonに収められていたOne of These Daysは、長年の友人たちに対する術後の素直な気持ちだろう。
 DVD、Heart of Goldでは、ハンクやアメリカンミュージックに対する敬愛とともにニール・ヤングの等身大の唄がたくさん聞ける。