これも前に観たことがあるが、「噂の寅次郎」を観た。
博の父親役の志村喬(諏訪颷一郎)が旅先で寅さんと出会い、寅さんに今昔物語を話題にして諭す。この場面は秀逸。「大人物は反省して去ったか」と寅次郎には迷惑と感じながらも心を許す。志村喬は名優だ。
とらやに帰って今昔物語を講義する寅次郎。「男はつらいよ」では、伝聞情報を伝える場面が結構出てくる。落語的手法に近いものがある。
マドンナは大原麗子さん。荒川早苗役で、離婚する女性を演じている。離婚届を役所に出してからのとらやでの大原麗子さんの感情の吐露、その演技が素晴らしい。大原麗子さんは、あらためて名女優だと思う。演技力が他の女優さんと格段に違う。
帝釈天にマドンナの大原麗子さんが登場する時の御前様と源公がおかしい。
志村喬がとらやに来る時も可笑しい。
父親と博のコミュニケーション不全状態。
さくらに博をよろしく頼みますという駅の別れの場面で、父親の気持ちがよく表現されている。志村喬は名優だ。
本作品は、大原麗子さんと志村喬さんで、決まり。映画は俳優次第・配役次第ということがよくわかる秀作。
1978年公開作品。