朝日新聞で、女優の大竹しのぶさんの「まあいいか」というコラムが始まっている。
4月12日付のコラムで、井上ひさしさんのことについて、大竹さんが触れられていた。
次の箇所はおかしく、ほほえましい。
11年前、林芙美子の生涯を私が演じた井上さんの「太鼓たたいて笛ふいて」の上演中、井上さんは何度も観に来て、楽屋を訪ねて下さいました。「本当にいい芝居ですねえ」。「先生がご自身でお書きになったんですよ」。笑いながら、いつも同じ会話を交わしました。
また、「亡くなった年の夏」、「復讐の連鎖を止める」というテーマの芝居でもある「ムサシ」のニューヨーク公演に大竹しのぶさんが観に行ったとき、カーテンコールで熱い拍手が起きたときの、次の大竹しのぶさんの話はいい話だ。
「ビューティフル!ナイススクール」と話していた後ろの席の中年のご夫婦に、私は聞きました。「ありがとう。でもナイススクールって?」。ご夫婦は「彼は美しいものを教えてくれた」。私はあふれる涙を止めることができませんでした。
美しいものを、そして、正しいことを伝えてゆこう。もちろん、先生の残して下さった言葉を通して。