木下惠介監督の「破れ太鼓」を初めて観た。
阪東妻三郎の頑固親父、かみなり親父の原型を大変面白く観た。
阪東妻三郎の子どもたちには俳優になった田村高廣、田村正和、田村亮がいる。
この映画の決め手は配役の妙である。配役をうまく決めることができれば、それで映画のできをおおかた左右すると言ったのは山田洋次だが、津田軍平という頑固親父の典型を阪東妻三郎に演じさせたことで、「破れ太鼓」という映画の出来は決まったと言っていい。
長部日出雄の「新編 天才監督 木下惠介」によれば、「映画を観た田村高廣は内心『木下監督はどうしてこんなによく、家にいるときの親父を知っているのだろう』と驚いた」という。
というように、この映画は、キャラクターの設定がたいへん面白かった。
滝沢修・東山千栄子の夫婦も面白かったし、宇野重吉も面白かった。
大昔の田園調布駅も見ものである。
1949年の作品。