「安倍首相演説要旨」

 安倍晋三首相の米議会上下両院合同会議での演説要旨は次の通り。
 以下、時事通信から。

 歴史とは取り返しのつかない苛烈なものだ。日本国と、日本国民を代表し、先の戦争に倒れた米国の人々の魂に深い一礼と、とこしえの哀悼をささげる。
 戦後の日本は先の大戦に対する痛切な反省を胸に歩みを刻んだ。自らの行いがアジア諸国民に苦しみを与えた事実から目を背けてはならない。これらの思いは歴代首相と全く変わるものではない。
 日本と米国がリードし生い立ちの異なるアジア太平洋諸国に、いかなる国の恣意(しい)的な思惑にも左右されないフェアでダイナミックで、持続可能な市場をつくり上げなければならない。環太平洋連携協定(TPP)には、単なる経済的利益を超えた長期的な安全保障上の大きな意義があることを忘れてはならない。日米間の交渉は出口がすぐそこに見えている。米国と日本のリーダーシップでTPPを一緒に成し遂げよう。
 私が心から良かったと思うのは、かつての日本が明確な道を選んだことだ。その道こそは米国と組み、西側世界の一員となる選択にほかならない。この道が、日本を成長させ、繁栄させた。そして今もこの道しかない。
 アジア太平洋地域の平和と安全のため、米国の「リバランス(再均衡)」を徹頭徹尾支持することを明言する。アジアの海について三つの原則を強調したい。第一に国家が何か主張するときは国際法に基づいてなす。第二に武力や威嚇は用いない。第三に紛争解決は平和的手段による。太平洋からインド洋にかけての広い海を、自由で法の支配が貫徹する平和の海にしなければならない。そのためにこそ日米同盟を強くしなくてはならない。
 日本は安保法制の充実に取り組んでいる。この法整備によって、自衛隊と米軍の協力関係は強化され日米同盟はより一層堅固になる。それは地域の平和のため、確かな抑止力をもたらすだろう。戦後初めての大改革だ。この夏までに成就させる。
 法整備を前提として、日米がその持てる力をよく合わせられるようにする仕組みができた。一層確実な平和を築くのに必要な枠組みだ。それこそが日米防衛協力の新しいガイドラインにほかならない。オバマ大統領と私はその意義について互いに認め合った。私たちは真に歴史的な文書に合意をしたのだ。
 紛争下、常に傷ついたのは女性だった。私たちの時代にこそ、女性の人権が侵されない世の中を実現しなくてはいけない。「国際協調主義に基づく積極的平和主義」こそは、日本の将来を導く旗印となる。日米同盟は米国史全体の4分の1以上に及ぶ期間続いた堅牢(けんろう)さを備え、深い信頼と友情に結ばれた同盟だ。それは常に法の支配、人権、そして自由を尊ぶ価値観を共にする結び付きだ。
 私たちの同盟を「希望の同盟」と呼ぼう。米国と日本、力を合わせ、世界をもっとはるかに良い場所にしていこうではないか。

(2015/04/30-01:20)