「安保法制、3学者全員「違憲」 憲法審査会で見解」

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 以下、朝日新聞(デジタル版2015年6月5日01時42分)から。

 衆院憲法審査会で4日、自民党など各党の推薦で参考人招致された憲法学者3人が、集団的自衛権を行使可能にする新たな安全保障関連法案について、いずれも「憲法違反」との見解を示した。国会の場で法案の根幹に疑問が突きつけられたことで、政府・与党からは、今国会中の成立をめざす法案審議に影響を及ぼしかねないと、懸念する声が上がっている。
 参考人質疑に出席したのは、自民推薦の長谷部恭男・早大教授、民主党推薦の小林節・慶大名誉教授、維新の党推薦の笹田栄司・早大教授の3人。
 憲法改正に慎重な立場の長谷部氏は、集団的自衛権の行使を認める安保関連法案について「憲法違反だ」とし、「個別的自衛権のみ許されるという(9条の)論理で、なぜ集団的自衛権が許されるのか」と批判。9条改正が持論の小林氏も「憲法9条2項で、海外で軍事活動する法的資格を与えられていない。仲間の国を助けるために海外に戦争に行くのは9条違反だ」との見解を示した。笹田氏も、従来の政府による9条解釈が「ガラス細工と言えなくもない、ぎりぎりで保ってきた」との認識を示し、今回の法案について「(これまでの定義を)踏み越えてしまっており、違憲だ」と指摘した。
 また、重要影響事態法案などで、米軍などを後方支援する自衛隊が「現に戦闘行為が行われている場所」以外なら活動できるとした点についても、小林氏らは「(武力行使との)一体化そのものだ」などと発言。3人とも違憲違憲のおそれがあるとの認識を示した。
 自民推薦も含む参考人から、安保関連法案の違憲性を指摘されたことに、与党は今後の法案審議で「野党に追及の材料を与えてしまった」(自民国対幹部)と危機感を募らせる。菅義偉官房長官は4日の会見で「違憲という指摘は全くあたらない」と反論し、法案審議には影響がないと強調した。(渡辺哲哉)