「神宮外苑、今が熱い ヤクルト優勝目前、ラグビーも脚光」

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 以下、朝日新聞デジタル版(2015年10月2日15時41分)から。2日の夕刊に掲載された記事。

 今、東京・明治神宮外苑地区が熱い。神宮球場を本拠地とするプロ野球東京ヤクルトスワローズが14年ぶりのリーグ優勝に迫れば、ラグビー日本代表はワールドカップで24年ぶりの歴史的勝利を挙げ、球場隣の秩父宮ラグビー場を盛り上げる。解体された国立競技場の「不在」を感じさせないファンらの熱気に、地元商店街の期待も高まっている。

 東京メトロ外苑前駅を出て青山通りから北へ延びる「スタジアム通り」。道沿いには秩父宮ラグビー場神宮球場があり、その先は国立競技場跡地へと続く。この通りが夏以降、例年になくにぎわっている。

 「私が知る限り、最近はこの30年で一番のにぎわいではないでしょうか」。通り沿いで喫茶店「川志満(かわしま)」を営む長場(ながば)昌子さんは話す。店の入り口には「ヤッター スワローズ◎1位だ!!」と書かれた小さなのぼりが揺れる。最近は常連客のほか、会社帰りのサラリーマンも目立ち、店のトイレでユニホームに着替えて球場に向かう客も多い。2日に神宮球場阪神戦があり、優勝が決まる可能性がある。

 ヤクルト戦の観客数は右肩上がりだ。優勝までのマジックを1として迎えた9月29日の広島戦は今シーズン最多の3万3522人を記録。優勝はお預けになったが、雨で中止になった1日の阪神戦のチケットも完売し、グッズの売り上げも好調だ。

■沸く地元、エディも来店

 長場さんの話では、「異変」は夏から始まったという。このころ、ヤクルトが一時単独首位に浮上。7月の全国高校野球選手権西東京大会では、注目を集めた早稲田実業1年の清宮幸太郎選手が神宮に登場し、優勝に輝いた。東京都高野連によると、西東京大会の準々決勝から決勝までの観客数(有料)は計4万3421人。1日平均では1万4473人で、昨年の2倍近かった。

 長場さんの店は創業56年。ラグビー日本代表のエディ・ジョーンズヘッドコーチもたびたび訪れ、レモンティーとゆで卵二つを注文するという。「今年の盛り上がりは相当です」とうれしそう。

 効果は思わぬ所にも。

 同じ通り沿いにある阪神タイガースのグッズ販売店秩父宮ラグビー場に観戦に来た客が「ついでに」と立ち寄るケースも目立つという。店長の早船(はやふね)奈津子さんは「去年に比べて明らかに客の入りがいい」と話す。「ヤクルトの好調さ、清宮選手の人気ぶりなどが関係して、神宮周辺全体がにぎわっている」

 これから、一帯ではスポーツイベントが続く。

 秩父宮ラグビー場では、3日夜、W杯の日本対サモア戦のパブリックビューイングを企画。日本代表メンバーも多く出場する国内ラグビー最高峰・トップリーグのリーグ戦は11月から始まる。神宮球場ではプロ野球クライマックスシリーズ、清宮選手がいる早稲田実も出場する秋季東京都高校野球大会本大会が控える。

 外苑前駅周辺の約100店でつくる「青山外苑前商店街振興組合」の坂本力理事長(55)は「この盛り上がりが続いてほしい」と期待している。(宮嶋加菜子、藤原学思)