「釣りバカ日誌10」を観た

釣りバカ日誌10

 前に観た「釣りバカ日誌10」をまた観た。
傑作である。特に前半がいい。
 冒頭の奥さん(奈良岡朋子)とスーさん(三國連太郎)の会話からしていい。
 鈴木一之助が会社を辞める。
 役員会での秋山専務(加藤武)とのやりとりが、なんともいい。加藤武もいい俳優だ。脇を固める原口取締役(竜雷太)と川島営業本部長(小野寺昭)もいい演技で支える。
 続く、草森秘書室長(中村梅雀)とのやりとりもおかしい。
鈴木社長役の三國連太郎は、本当に凄い俳優だ。社長を辞める時の一連の演技がすごい。感心する。

 前原運転手(笹野高史)とのやりとりもいい。
 再就職先を探す場面の、スーさんと、ハマちゃん夫婦とのやりとりもおかしい。
 資格をたくさん持っていることを誇るスーさんも面白い。

鬼の居ぬ間に洗濯の役員たちの会話も絶妙だ。

秋山専務: 今度帰ってきたら言ってやろうか。あなたがいなくてもちっともで困りませんでしたよって。
川島営業本部長: 社長がいなくても困らない会社はいい会社だという説がありますよね。
堀田常務:じゃあ、うちはいい会社だ(爆笑)。

 若い恋人どおし、松五郎(金子賢)、岩下みどり(室生舞)も目立たない演技で努力している。
タイ料理屋でのスーさんと若い松五郎との交流も素敵だ。
同棲中の松五郎とみどりのやりとりも上手く表現されている。
 ひとみ(細川ふみえ)、日下部正俊(なぎら健壱)、岩下耕作(夏八木勲)ら、周囲の俳優さんたちも頑張っている。特にみどりの父親がいい。

 脚本は、山田洋次・浅間義隆。
本作品は、脚本と配役の勝利だろう。
 王様が庶民に身代わりをする、会社を、トイレ清掃や別の視点で見るという設定も、まさに古典だろう。
 音楽(かしぶち哲郎)も、いい。
栗山富夫監督。
 1998年8月公開。