「「説明の根底ひっくり返る」批判次々 首相「獣医学部、全国に」発言」

amamu2017-06-27


 以下、朝日新聞デジタル版(2017年6月27日05時00分)から。

 学校法人・加計(かけ)学園に国家戦略特区での獣医学部新設を認めた一連の経緯について、安倍晋三首相が「中途半端な妥協だった」とし、全国で学部新設を認める意向を示した。政府の判断を首相自らが批判したともとられかねず、野党からは「これまでの説明を根底からひっくり返す発言」(民進党野田佳彦幹事長)と批判が相次いでいる。

 安倍首相は24日の神戸市での講演で「中途半端な妥協が、結果として国民的な疑念を招く一因となった」とし、「地域に関係なく、2校でも3校でもどんどん獣医学部の新設を認めていく」などと語った。

 安倍政権は学部新設を認めるにあたり、獣医師養成の「新たな需要が明らかになる」といった条件を2015年の閣議決定で掲げたり、獣医学部の「空白地域」に「1校限り」で認める条件を昨年以降になって追加したりと、政権自身の判断で対象を絞ってきた。その結果、実質的に加計学園だけが特区に応募できる条件を満たし、認定された経緯がある。

 空白地域に限る方針を出したのは、首相が議長を務める国家戦略特区諮問会議だ。「1校限り」も、関係閣僚の合意によって決めたと説明してきた。

 菅義偉官房長官は26日、1校限りで学部新設を認めたのは日本獣医師会の要請を受けたものだと強調したが、野党は一斉に批判の声を上げた。

 共産党小池晃書記局長は会見で「加計のために(岩盤規制に)穴を開けたと認めたようなもの」と指摘。「自分の疑いを晴らすために国の政策を根本的に変えるみたいな、すさまじい話だ」と非難した。

 政府が定めた特区の基本方針では、特区での規制緩和について「実施状況の評価に基づき、その成果を全国に広げていく」と定めている。だが、加計学園は、文部科学省が学部設置認可の審査をしている段階。成果を評価できないうちに、首相は「全国展開を目指す」と言い切った。獣医師の「新たな需要」の証明を求めた閣議決定も宙に浮きかねない。

 一方、規制緩和推進を唱える有識者や特区指定されている自治体の首長らは26日夜、都内でそろって記者会見を開き、規制緩和の必要性を訴えた。「2校目、3校目をすぐにやるべきだと最初から私たちは考えていた」(原英史・政策工房社長)など、今回の首相発言を支持する声も出た。

 ■安倍首相の発言(抜粋)

 獣医学部新設は、半世紀以上守られてきた硬い岩盤に風穴をあけることを優先し、獣医師会からの強い要望をふまえ、まずは1校に限定して認めた。しかし、こうした中途半端な妥協が国民的な疑念を招く一因となった。今治市に限定する必要は全くない。速やかに全国展開を目指したい。地域に関係なく、2校でも3校でも、意欲あるところにはどんどん獣医学部の新設を認めていく。