「立憲民主党フォロワー 1日余りで8万人突破」

 民進党両院議員総会での、民進党希望の党への“身売り”は、極めて短時間に唖然とするほどあっさり決められた。耳を疑ったのだが、とくに反対意見は出されなかったようだ。
 野党第一党である民進党の国民に対する裏切りといわざるをえない。

 民進党の前原代表は「(希望の党に)全員受け入れられるよう努力する」と明言したが、その後、小池百合子都知事の、あからさまな排除の論理、「私たちの政策に合致するか、さまざまな観点から絞り込みをしたい。全員を受け入れることは、さらさらない」と選別を行う発言で、民進党の議員一人一人が値踏みされ、切りきざまれている。
 小池百合子都知事のこうした態度は、自民党都議会のボスを批判してきたボス以上の独裁者の様相を呈しているようにみえてならない。
 
 こうして国民を置き去りにした状況がつづく中で、枝野幸男氏が、立憲民主党を立ち上げることになった。
 判断力が遅くはないかという疑問がないわけではないが、その立憲民主党ツィッターのフォロワーが1日余りで8万人突破したという。
 これは、驚くべき数字だ。
 自民党も「希望の党」も驚いているのではないか。
 これほど立憲民主党が注目されるということに関しては、自民党希望の党にとっては、想定外ではなかったかと推測する。

 立憲民主党に対する国民の関心度の高さ、期待度の高さは、国民の要求に応えようとせず、裏切ってばかりいる政治家が多い中で、国民の要求をしっかり受け止めてほしい、政治家よしっかりしろという、国民側からの激励の声のように聞こえてならない。
 この声は、日々大きくなることはあれ、小さくなることはないだろう。

 というのは、前回の選挙では、国民の大多数は、経済を、政治に期待していた。
 だから前回の選挙では、暮らしの向上を政治に期待し、自民党に託した。
 そうした結果としての、自民党の圧勝だった。

 自民党の当選者の人数は、獲得総数と比べれば、議席数の取り過ぎということになる。
 その昔は、農村やさまざまな支持組織に自民党との持ちつもたれつの関係があったが、それも崩れ、今の自民党はそれほど強い支持基盤をもつ政党ではない。それでも、なぜ権力がとれるかといえば、それは、ひとつには、小選挙区制のおかげである。公明党の力を必要としているのも集票マシンとして期待しているからで、自民党単独では集票力がないからだ。政治不信が広がって投票率が落ちれば自民党に有利となるというのも、自民党の支持基盤が盤石ではないことを示している。

 もう一度繰り返すが、前回の選挙では、暮らしの向上を政治に期待し国民は自民党に託した。けれども、株価は維持できても、一向に国民の暮らしはよくならない。それどころか、選挙公約になかった国民の要求ではない安保法制や秘密保護法を強行採決する安倍首相の悪政。それで支持率は下がっても、安倍首相の壊憲に対する執念が断念されないどころか、森友・加計問題疑惑で開き直り、モリカケ疑惑隠しの冒頭解散をおこなう暴挙。国政の私物化と暴走する悪政がこれほど解りやすい形で、国民の眼の前で提示されたこともないだろう。
 憲法を守るべき首相が、憲法を破壊し、さらに憲法の平和主義を破壊しようとしている。ここには、国民の代表であるべき代議士が国民の声を代表しないという、深刻なねじれ・矛盾がある。

 小池百合子都知事も、同類である。
 築地問題をはじめ、東京都民は、都民にこたえる政治をやってもらいたい願いを託して、圧勝させてもらったにもかかわらず、その願いに全力で応えようとしているとは思えない。いまの小池百合子都知事のふるまいでは、「自分ファースト」と言われても仕方あるまい。「希望の党」ではなく、「自分の希望の党」といわれても仕方あるまい。政権をとるといっても、にわか仕立ては否めない。候補者を立てない選挙区をみれば、公明党や維新に配慮をする「しがらみ」が透けてみえる。
 そもそも、性に合わない人たちとつきあってこそ、うまくやっていくための自制心を学ぶことができるし、それによって、人格形成も発展し完成に近づくものではないのか。
 敵をみずからつくって、その仮想敵と闘うことで、憎悪をあおり、人気を得ようとするポピュリズム
 安倍晋三首相も、小池百合子都知事も、多種多様な国民・都民の全体の要求を軽視・無視し、ほんの一握りの一部の人間の利益しか考えてないという点では、それほど変わらないのではないか。

 立憲民主党の立ち上げは、覚悟のなかった民進党に、ようやくカツが入ったということなのだろう。
 憲法は、国民が主人公であること、国民主権を高らかにうたっている。国民の要求を考えず、パワーポリティックスばかりを考えている政治家たちにも、カツが入らざるをえない。
 国民のちからをなめている多くの政党と多くの政治家は、国民が主人公であること、国民主権を、今度の選挙で学ぶことになるだろう。

 以下、毎日新聞(2017年10月3日 17時58分(最終更新 10月4日 00時48分))から。

 民進党前職の枝野幸男氏がリベラル勢力の結集を目指す立憲民主党の設立を2日に表明して1日余りで、同党公式ツイッターのフォロワー(読者)数が8万人を突破した。民進党が昨年3月に始めた公式ツイッターの読者数2万3000人を大きく上回っている。他の既成政党は最多の自民党で11万人、公明党7万1000人、共産党3万1000人など。
 立憲民主党ツイッターは枝野氏が記者会見に臨んだ2日午後5時前から投稿を開始。枝野氏の発言や記者とのやり取りをリアルタイムで流し、報道各社のニュースや動画もアップする。投稿は70件を超え、発信のため「不眠不休に近い状態」とも。4日午前0時半現在、読者は約8万600人。
 一方、先月26日に開設された希望の党の公式ツイッターの投稿は公式動画や写真など4件で読者は約2500人にとどまっている。東京都知事小池百合子氏個人のツイッター読者は47万6000人いるが、投稿内容は都政の話題が中心で、希望の党に関するものはない。【和田浩幸】